転職・起業

「竹製トイレ紙」コロナ機に起業 長野・富士見の新興企業、品不足着目し宅配

 身近な商品が暮らしや消費を考えるきっかけになれば-。長野県富士見町の新興企業が脱炭素の効果があるとされる竹を原料にしたトイレットペーパーの販売を始めた。社長の松原佳代さん(42)は米国に在住。新型コロナウイルス流行のさなか、富士見町とエストニアに住む仲間とリモートでつながり、起業を実現した。

 CO2吸収量多く

 2019年に移住した西部オレゴン州ポートランドで、以前の住人が注文したトイレットペーパーが誤って届いた。それが、日本ではなじみの薄い竹パルプ製だった。転送不要と言われ使ってみて、思いがけず質感などの良さを知った。

 竹は広葉樹などの木と比べ成長が早い。生育期間が5年前後までは二酸化炭素(CO2)の吸収量が普通の木より多いとの研究もある。ただ事業化は「時代を先取りしすぎかな」と感じ、胸にしまっていた。

 20年春のコロナ流行直後、店頭からトイレットペーパーが消えたのを目の当たりにして迷いが吹っ切れた。日本は温水洗浄便座が普及しているのに、1人当たりのトイレットペーパーの消費量は世界4位とされる。「ないと困る日用品だからこそ新たな提案をする価値がある」と決意。20年12月に環境関連の商品販売などを手掛ける企業「おかえり」を設立した。

 共同創業者の2人とは子育ての都合や時差を考慮し、日本時間の午前4時にビデオ会議を行うなど工夫。リモート勤務が業界を問わず定着したことも奏功し、取引先との商談は対面でなくても想定以上にうまく運んだ。

 商品名は「バンブーロール」。18ロール入りの箱(1800円)を定期宅配で届ける。4人家族なら月1箱が目安。次の配送までを考えて使う習慣が付けば、なくなるたびに買うより節約につながると訴える。

 販売増で値下げ図る

 ポートランドはIT企業が集まる西海岸にあり、技術者の夫の希望がかなう地域だった。公共交通も発達し、日本の富山市などと並んで世界的な環境先進都市として知られている。富山市の隣、射水市出身の松原さんも気に入っている。ママ友との会話で環境問題や政策がよく話題になることも、経営への刺激になっているという。

 バンブーロールは先行予約で数百件の注文があった。課題は、通常のトイレットペーパーと比べて割高な価格だ。販売量を増やしてコストを削減し、顧客に値下げで還元することを目指す。公式サイトによると、「おかえりCompost」と題した新規事業を検討中。「いまはまだ秘密」だが、堆肥がテーマのようだ。(ニューヨーク 共同)

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