働き方

転勤や人事、雇用慣行に変化 テレワーク対象は大企業など限定的

 政府は1回目の緊急事態宣言で、企業にテレワークを推奨し、出勤を7割削減するよう要請した。テレワークの拡大は、出社勤務や転勤、長時間労働などを前提とした正社員の人事、雇用慣行を見直す動きにつながった。どう変わるのか、企業の実例から課題が見えた。

 富士通は宣言後、出社前提の社内制度を全面的に見直した。テレワークの制度は以前からあったが、新型コロナウイルス感染拡大で利用が加速。現在は原則全社員が対象で、手当も支給する。

 働く場所を自由とし、通勤定期券は廃止して交通費を実費精算に。テレワークと出張で対応できるなら、転勤を命じられても単身赴任を避けてテレワークに切り替えることも可能だ。現時点でグループ内の社員約4000人のうち約1000人が転勤をせず、異動先の仕事を在宅で続ける。始業と終業の時刻も自分で決められる。これらの働き方を進めるため、同社は職務が明確な「ジョブ型」の人事制度を導入。「海外の優秀な人材を獲得するためにも不可欠」という。

 富士通とは逆に、週3回出社を奨励するのは、ゲーム関連企業のカヤック(神奈川県鎌倉市)。IT企業のため「全員テレワークは可能だが、それよりも一緒に働く実感が必要だ」(広報担当の梶陽子さん)。同社社員は9割がディレクターやデザイナーなどのクリエーター。オンラインでの密な情報共有を心掛けているものの「1人だとアイデアが広がらない。いろんな人と話して多様な視点を取り入れる過程が必要だ」と、対面の重要性を認識したという。

 昨年は新人研修もオンラインで「人間関係を育むのが難しかった」と振り返る。部下も上司を採点する「360度評価」も対面が前提。「もしテレワークに完全移行するなら、採用から仕事内容、評価方法まで変える必要がある」と指摘した。

 日本生産性本部の調査では、テレワークを続けているのは首都圏の大企業で事務職や技術職、専門職で働く正社員が中心だ。柿岡明上席研究員は「限られた幸運な人の働き方になっている」と分析。「定着率を上げるには、個人単位ではなく業務全体をテレワークに合ったやり方に見直すなど、働き方を再設計すべきだ」と指摘した。

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