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「帝国ホテル」建て替え 次世代の「和魂洋才」を期待 (2/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

■ウエスタンスタイルの伝道師でありながらの日本らしさ

 世界のトップホテルは、格式が高ければ高いほど築100年、200年という館(やかた)の古さを誇りにすることを考えると、地震国であることを差し引いてもわずか50年で建て替えたくなるのも普請文化の日本らしさなのかもしれません。

 そう考えると、やはり「帝国ホテル」はあくまで日本における欧米スタイル、ウエスタンスタイルの伝道師という役割を務めながらも「和魂洋才(わこんようさい)」、つまり日本の伝統文化、精神性を忘れないサービスを体現してきました。日本に本格的な西洋料理を紹介したことで知られる故村上信夫第11代料理長のエピソードなどを読んでも、厨房やホテルバックヤードでの取り組みはいかにも日本的な勤勉実直さにあふれています。

 筆者自身、日本資本のホテルが大好きなのですが、インターナショナル大手ブランドホテルと色濃く違いを感じる部分としては例えば、ホテリエ一人一人の役割分担がありながらも、日本ブランドのホテルはどのスタッフに何を訪ねても頼んでも自分事として反応してくれるところだったりします。

 他にも、電鉄系資本のグランドホテルなどを含めて、日本の大型ホテルは全体が一つの街のようにカフェやレストラン、ベーカリー、お土産品は当然として、薬局、書店、床屋、スパ、ジム、プール、さらには個人経営の個性的な商店がアーケードを形成していたりする情景も“ならでは”の魅力と感じます。

 中でも帝国ホテルで言えば、館内に郵便局や靴磨きスタンドまである至れり尽くせりです。一つの館(やかた)に多くの機能をバランスよく配置させる機微は、箱庭とか幕の内弁当などがしばしば外国人を驚かせるいかにも日本的なセンスが反映された特徴であるように思うのです。

■次の時代を戦える「和魂洋才」のプレゼンテーションを期待

 階級社会や階層化された社会を背景に高級ブランドビジネスがそもそも得意な欧米ブランドのインターナショナルホテルブランドの向こうを張って価値観を維持している、「帝国ホテル」ブランド。外国人のファンも多いことを思えば、やはり「和魂洋才」のユニークさこそが差別化されたブランドポジションを確立する大きな要素だと感じます。

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