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食のエンターテインメント性を加速 スシローのあくなき合理化精神 (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 外国の方が日本を訪れたとき印象として必ず指摘する「伝統的なもの」と「未来的なもの」が混在融合することから生まれる独特な都市の表情。テレビ番組や、東京を舞台にした詩的映画ソフィア・コッポラ監督「ロスト・イン・トランスレーション」など様々フィーチャーされてもきました。

 とりわけ「回転寿司」という日本発祥のレストラン業態は、生魚という外国人から見れば文字通り“生々しく”感じる食材をロボティックなシステムで提供することで象徴的に「日本的な」何かを感じさせるようです。

 そもそも寿司自体がいかにも日本人的な工夫や合理精神を体現しているようにも思われます。冷蔵庫もない時代に魚介類に仕事をすることで旨味を引き出すのと一石二鳥の保存性を確保するという技術は自然発生的なものではあるでしょうが、数多(あまた)の要求事項に応えた上で最もシンプルなスタイルに落とし込むという美学を感じさせます。

 生活者との関係においても、当時世界最大の都市であった江戸の都市生活者”江戸っ子”の気質(かたぎ)、手っ取り早く、気の利いたものをかっこみたいという要望に正面から答えた、屋台で供されたことも含めてのイノベーションに違いありません。

 そう考えると、回転寿司という当の日本人にしてから当初は異色と感じたスタイルも、用の機微を究めたまさに寿司の歴史・文化的文脈にまさにふさわしいものと言えるのではないでしょうか。

■「自動土産」ロッカーをいち早く導入

 緊急事態宣言中ではありましたが、日曜日の昼下がり、東京下町地域の某「スシロー」は感染対策がしっかりされていることの安心感もあるのでしょうし、夜の外食がし難い中でつかの間外食を楽しもうという人たちで大変賑わっていました。確かに、元々キッチリし切られたテーブル席は家族や友人単位で過ごす構造です。

 カウンター席も一人利用や横向き二人での少人数利用がメイン。実際に回転している寿司は多くなく、タッチパネルでオーダーすれば、お皿は結構なスピードでテーブルまで専用レーンの上を運ばれてきます。店員さんとの直接のやり取りはかなり限定的な非接触スタイルは、アフターコロナも含めたコロナ時代にとても親和性の高いサービスだとあらためて感じます。

 さらに来店時のチェックイン、待合もタッチパネルやスマホアプリ連携、お会計もセルフ方式をいち早く採用アップデートしているあたりも、合理化精神でリーズナブルなのに美味しいを実現してきた回転寿司業界、そのトップランナーとしての先進性へのこだわりを感じます。

 何より、筆者の訪問した「スシロー」店舗では、さっそくテイクアウト用のスシローオリジナル「自動土産ロッカー」が店頭に設置されていました。店員さんの負担を増やさず、テイクアウト品を引き取るお客さん側も待たずに持ち帰れる一石二鳥を狙った施策と思われますが、実際にこのような設備を大々的に導入している業態を他に見かけないことを考えれば、オートメーション化、機械化に対する情熱にウソ偽りがないことを何より証明しています。

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