今日から使えるロジカルシンキング

「GW個人消費2.6兆円減」の真実 「2つの割り算」で世の中の数字を正しく読む (2/2ページ)

苅野進
苅野進

「2.6兆円」は何で割ることができるか?

 冒頭の「GWの個人消費が緊急事態宣言により2.6兆円減」というニュースに関しても、「2.6兆円という数字を何で割ることができるか?」と考えることが大切です。

 コロナ禍前だった2019年のGW個人消費(7.6兆円)と比較してみましょう。

 2.6兆円÷7.6兆円=0.34なので34%減です。これだけで見るとどうやら大きなインパクトのようです。

 では「1日あたりは?」を求めるタイプの割り算をしてみます。まず7.6兆円(2019年のGW個人消費)-2.6兆円(2021年のGW個人消費予測)=5兆円です。そして、今年のGWは7日間なのに対し、2019年のGWは実は4月27日~5月6日までの10日間もあったのでこのようになります。

2019年 7.6兆円÷10日間=0.76兆円(1日あたり)

2021年 5兆円÷7日間=0.714兆円(1日あたり)

 どうでしょうか。話がだいぶ変わってくると思います。「2.6兆円減」の見方も変わるのではないでしょうか。

目の前の数字がもつ意外なメッセージ

 「GWの国内線予約数は110万人ほどで前年の5倍近い」という数字も発表になっています。「110万人!」「5倍!」だけで航空会社の売上が5倍に増えたと判断してはいけません。

今年の予約数÷前年の予約数=5

 これ以外にも、できそうな割り算はないかと考える姿勢が大事です。たとえば「座席提供数」で割ってみましょう。座席提供数は220万人分ほどですので

110万人÷220万人=0.5

 つまり空席率は50%ほどですね。これは間違いなく赤字でしょう。2019年の座席提供数で割ると? と考えると、当時は440万人分くらいだったようなので

110万人÷440万人=0.25

 つまり空席率は75%ですね。2019年から機材自体は残っていると仮定すると、稼働率という考え方でいえば25%ということです。

 このように、「何か割れるものはないか?」と探すことで、目の前の数字が意外なメッセージを持つことは少なくありません。

「とにかく割ってみる」クセをつける

 みなさんも、「とりあえず割り算をしてみる」という姿勢で色々と計算してみてください。世の中には数字だけで印象付けようとする記事やメッセージが多くなっています。ぜひ、「割ってから考える」という習慣によって、数字の絶対的な数で一喜一憂する状況からぜひ脱却してください。

苅野進(かりの・しん)
苅野進(かりの・しん) 子供向けロジカルシンキング指導の専門家
学習塾ロジム代表
経営コンサルタントを経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップによって「上手に試行錯誤をする」「適切なコミュニケーションで周りを巻き込む」ことで問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組んでいる。著書に「10歳でもわかる問題解決の授業」「考える力とは問題をシンプルにすることである」など。東京大学文学部卒。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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