最強のコミュニケーション術

この発言、ぜんぶOUT! 企業が「ダイバーシティ」を尊重すべき本当の理由 (2/3ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

 特に悪気なく、コミュニケーションの一環と捉えている人や、相手を思っての注意と考えている人の場合、悪気なく人を傷つけることを繰り返しやすいのが特徴です。これまで大人の対応でやり過ごしてきた人も、発言のどこが問題だったのかを伝え、気づいてもらった方がよさそうです。

 このとき気をつけて欲しいのが相手を責めるようなニュアンスを極力排除して伝えるということです。批判するような口調に聞こえてしまうと、防衛の気持ちにスイッチが入ります。そのため、自分の失言を省みる前に「ヒステリックだ」「言葉狩りだ」など反論したくなってしまうからです。

「今のは差別ではない」 失言の正当化を防ぐ2つのポイント

 失言に気づいてもらい、正当化しにくくするためには、相手が「責められている」と感じないように伝えることが大切です。伝えるときには、以下の2点に気をつけましょう。

①一般論として話を切り出す

 失言した本人を批判するのではなく「失言に対して厳しい時代になった」など、一般論として話を切り出すとよいでしょう。このとき「職場全体で気をつけましょう」など、自分も気をつけるというニュアンスを加えるとよいでしょう。

《例》

「パワハラ防止法も施行されましたし、言い方に気をつけないといけない時代ですよね。奮起させたいときでも、『バカ』という表現はやめたほうがいいかも知れません。私も誤解されないように気をつけないといけません。職場全体で、意識していきましょうか」

②声のボリュームを抑えてゆっくり話す

大きな声だと責められていると感じやすいものです。声を荒げずに、意識して話すようにしましょう。ゆっくり話すようにすると、穏やかに聞こえるので、声のボリュームとあわせてやってみてください。

あなたは大丈夫? NGな発言をしやすい3つのタイプ

 「これぐらいは大丈夫だろう」と思うかも知れませんが、多様性を尊重し、様々な人に配慮した発言が求められる時代になっています。自覚がないまま大失敗をしてしまう前に、うっかり失礼なことを言ってしまいやすい3つのタイプにあてはまっていないかチェックしてみましょう。

1.昭和を引きずったまま 常識がアップデートされていない

 「男は多少口が悪くてもあたりまえ」「昔は誰もこうやって育てられてきた」「鍛えるのも仕事のうち」など、古い考えを引きずっているせいで失言をしている人もいます。

 昭和の感覚なのかもしれませんが、平成も終わり、時代は令和になりました。他者への配慮があたりまえに求められる時代であることに、そろそろ慣れましょう。基準としては、自分が言われて嫌なこと、家族に言われて嫌なことなど、「口に出さない」というところから始めるのがよいと思います。

 想像力を働かせて、人を傷つけるような言い回しを控えるのが、大失敗を防ぐための急務です。「この発言はどうかな」と思ったものは言わない。これを習慣にしていきましょう。

2.サービス精神で失言する 人を“下げる”のはユーモアか?

 悪気はなく、場を盛り上げようとして失言してしまうタイプです。このタイプの人は、その場にいない誰かを下げることで、場にいる人を持ち上げようとします。サービスのつもりかもしれませんが、誰かを傷つける可能性のある言動には十分気をつける必要があります。

 最近では、この手の発言に不快感を持つ人も増えてきましたので、もはやリップサービスとは思うのは危険です。場にいる人を気持ち良くしたいのであれば、誰かを下げるような発言ではなく、目の前の人たちを褒めるようにしましょう。

 笑いを期待して失言をする人もいますが、人を悪く言うのは、もはやユーモアとは認められない時代になりました。言いたくなった場合には、自虐ネタを使うようにしてはいかがでしょうか。

3.自分は許されると思ってしまう権力者タイプ 周囲は違和感

 「自分の立場なら、このくらいは大丈夫」といった奢りが通用しない時代になりました。忖度してくれる人はまだいるかもしれませんが、おかしいと気づき、評価を下げる人は今後増えていくでしょう。「立場が上だから大丈夫」という価値観は、もはや昔のものと思ったほうが良さそうです。むしろこれからは立場が上の人ほど、配慮ある正しい発言が求められるでしょう。

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