社会・その他

沿道応援で「密」 五輪マラソンテスト大会、本番へ不安拭えず

 札幌市で5日に実施された、東京五輪マラソンと同コースを利用したテスト大会は、北海道内で急拡大する新型コロナウイルス対策を念頭に、警備面など含め本番の安全実施に向けた確認が広範にわたり進められた。ただ、沿道に多数の観客が参集することが想定される競技の特性上、関係者からは懸念の声も。五輪・パラリンピック組織委員会は、課題の洗い出しと運営計画への反映を急ぐ。(中村翔樹)

開催意義を強調

 「非常に意味があったと言っていただけるテスト大会ができたと思っている。行動規制も含めて十分な態勢を取ることはできた」。組織委の橋本聖子会長は、大会終了後、開催の成果をそう強調した。

 ハーフマラソンで行われ、五輪代表内定選手を含む国内外の選手69人が出走た今大会をめぐっては、札幌市で新型コロナウイルスの感染者が急増していたことから、市民らから「今はそんな場合ではない」などと、開催を疑問視する意見も出ていた。

 しかし、屋外で長距離を走るマラソンは、沿道警備や交通整理のほか、専用資機材の搬入、給水や救護のオペレーションなど確認項目は多岐にわたる。選手側の経験値を含め、組織委は「一度もレースをしないままでの安全実施は難しい」との立場で、開催意義を重ねて訴えてきた。

 橋本会長が言及したように、市民には観戦の自粛を求めてきた。事前に沿道を訪れないよう呼びかけた上、当日も一定の参集を見越し、約770人を声かけ要員として配置。一時混雑がみられた箇所では担当者が「感染症予防のため、観戦は自粛してください」などと声を張り上げていた。

 もっとも、場所によっては指示に従わずコース付近にとどまって応援を続ける観客も。大通公園沿いで選手を見守った80代の女性は、自粛要請は把握していたが「選手たちの息遣いやスピードを間近に感じたくて来た」。本番に向け、実効性が課題になる。

突発対応、必須

 警備関係者からは別の視点から懸念の声が上がった。

 マラソンではコースへの飛び出しなど突発事案への対策が必須だが、今回は道幅が狭いところが多く、沿道から選手までの距離も近い。マラソンは男子が大会最終日(8月8日)を飾ることもあり、「注目度は必然的に高くなる」と関係者。テロの標的になる可能性も含め警戒感を示す。

 五輪では競技場内外の警備は組織委が主体で行う。本番で沿道応援が可能になるかは未定だが、組織委は今回より観客が増えることも想定し、支援に回る北海道警などと調整を進める。

「課題潰していく」

 今大会にはケニアなど海外4カ国から男女6人が参加したが、組織委が海外選手に課した厳格な安全管理については、評価の声が上がった。

 6人は自国を出国する直前の新型コロナ検査で陰性を確認した上で来日。入国後も毎日検査を行い、移動は専用車による宿舎と会場間などに限る「バブル」方式を採用した。選手からは「ホテルから出られないのは大変だったが、不便さはなかった。この大会のコロナ対策は完璧だった」などの声が寄せられたという。

 数々の“逆風”をひとまず乗り切った形の今大会。組織委の森泰夫大会運営局次長は、「各所からの気づきを吸い上げ、今後は課題を潰していくプロセスに進んでいく」と語った。

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