ミラノの創作系男子たち

首脳会談でも活躍 伊英日3か国語の同時通訳者・ジュゼッペが語る日本人の印象 (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 ジュゼッペは1976年、イタリア半島の南端、ブーツのつま先にあたるレッジョカラブリア州に生まれた。母親は小学校の先生でトマス・アクィナスの末裔だ。中世スコラ学の神学者で『神学大全』の著者と知られる、あのトマス・アクィナスだ(トマス・アクィナスは聖職者だったので、正確にはトマス・アクィナスの兄弟の家系を継いでいる)。2年前までは地中海の宝石と称されるトロペア市にあるアクィナス家邸に毎夏、親類が集まっていた。父親は昨春亡くなったが、イタリア北部マントヴァ市の出身の弁護士で1日16時間も働く人だった。 

 ジュゼッペはこの両親の血筋を文字通り完璧にひいた。

 3歳の時に数字や文字を覚えはじめた。4歳のとき幼稚園の先生に「発達が早いから、小学校に通いはじめた方が良い」とアドバイスを受け、普通より1年早く学校生活に入った。そしてすぐ英語の勉強をはじめた。

 母親に地球儀で英語が通じる国々を指し示してもらい、「英語ができれば活躍できる範囲が広がる」と想像したのだ。その後、コンピューター言語にも接するようになり、そこでも英語が鍵だと確信した。

 そして前述のように、6歳の時にイタリア国営放送で『マジンガーZ』に出逢う。声は吹替だが、登場する機械獣や機械神などさまざまな名称が次々にカタカナ表示され、それらを「いつか読めるようになってやる」と思ったのが日本語への興味の最初だ。 

 日本語の文章を自ら読んだのは中学生の頃だ。ドイツに留学していた従妹の日本人ルームメイトが日本に帰国する際に置いていった漫画『北斗の拳』23巻をもらったのだ(詳しい方は「ああ、全27巻までまだ出版されていなかった時なのだな」と思うだろう)。彼はさっそく、ヴェネツィア大学が刊行した日本語の文法書と辞書を手に入れた。『北斗の拳』の最初の1ページを読むに3日かかった。23巻の読了には半年かかったが、いかんせん、ちゃんと理解した気にはなれなかった。 

 日本語を勉強するためヴェネツィア大学に入学したのは17歳の時だ。その理由は「ファンタジーとテクノロジーの両方のバランスがよく、働き者の国だと思ったのです。また高校の時、2年間ロンドンに夏休み中の短期留学で英国に少々ガッカリしたのもあって…」と語る。

 大学生活の後半、1998-99年の2年間、(当時)文部省奨学金で筑波大学に留学した。日本の社会にどんな印象をもったのだろうか。

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