事業展開は、基本的には2方向で考えてみることがスタートです。
- (1)上流への進出
- (2)水平展開
(1)「上流への進出」の例
たとえば、多くの飲食店ではスマートフォンをレジの代わりに使っていますね。端末自体はソフトバンクから購入しているものも多いはずです。しかし、その中で動いているレジスター機能などは他社が握っています。この場合の「上流への進出」としては、最後の端末部分だけでなく、システムの構築も担っていこうという戦略が考えられます。
(2)「水平展開」の例
すでにモバイル端末を使っている分野の技術と知見をほかの分野に展開していこうというものです。たとえばみなさんが使っている地図アプリの位置情報技術は自動運転へと使われていますね。
「水インフラ事業」に進出したソフトバンク
上流への進出では、既存プレイヤーとの対決になります。このような状況ではシンプルに「人材の確保」に動くのがソフトバンク流ですね。中途採用はもちろんですが、会社ごと買い取るのが基本戦略です。お金があったらコンサルティング会社であるアクセンチュアを買い取りたいのではないでしょうか(笑)
水平展開においては実際にいくつかの発表がありました。他でなかなか見ないなと思ったのは「水インフラ事業」です。そのひとつとして、ソフトバンクはポータブル手洗いスタンド「WOSH(ウォッシュ)」の販売を始めました。
何が水平展開なのかというと「法人営業部隊が、その顧客にそのまま水の小型再生プラントを営業できるというのがありますね。また、この機器はインターネットに接続されていて、制御されているという点もそうです。
こちらももちろんソフトバンクらしく、既存企業との資本・業務提携でスピーディーなのが特徴です。AIやIoTを活用した水の再生処理技術を持っていた東大発ベンチャー「WOTA(ウォータ)」と手を組んだのです。自前で「社内公募」などやってる暇があったら、すでに芽が出かけている企業を買い取って育てるというのがほかの日本の大企業との大きな違いですね。
お手本どおりのソフトバンク
ソフトバンクによる多角化戦略は、
そもそも今の状況は?無理ゲーになっていないか?
を考えること。さらに、
新規事業は基本に忠実に、そして基本だからこそ一気加勢で勝つ
というお手本通りのロジカルシンキングの事例として紹介できる内容だったと思います。
ソフトバンクは新戦略の評価も早い企業ですので、2年くらいのうちには今回の方針の結果を見ることができますので、是非皆さんも「あの時の戦略策定の結果は?」と気にしてみてくださいね。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら