1年以内に深谷市での実証実験が開始可能である「現場導入部門」そして、アイデア段階・基礎研究段階でも可とし、2~5年を目途に深谷市で実証実験が開始可能である「未来創造部門」の2部門での募集となっています。(※最新の募集ルール)
この2つの部門があることで、既に事業を開始してプロダクト開発している企業は、実証実験ができる場の創造につながるし、アイデア構想段階の応募者も参加出来ます。
解決すべきテーマについても現代の農業のニーズにマッチしたものが設定されており、
(1)栽培環境における解決策
(2)収穫における解決策
(3)人材確保における解決策
(4)経営に関する解決策
(5)その他市内農家の笑顔につながる解決策
を募集しています。
「ビジネスコンテスト形式」というのは事業モデルを集積するためには優れている打ち手です。よく他の施策でも活用するモデルではありますが、今回のDEEP VALLEYではこの取り組み一つ一つがとても優れているものとなっています。
まず、エントリー側の応募者のメリットが四つあります。その一つ目は深谷市として用意した2部門の最優秀賞者に総額1000万円の賞金(出資金)が準備されているということ。日本の自治体の施策において、とても稀でユニークな取り組みですが、民間のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の取り組みと同様、農業を担う未来の取り組みについて出資者として支援をするというものです。
深谷市からの1者あたりの出資金額は、対象者の資本金額の4分の1未満を上限とされており、これまで自治体等で多く実施されていた第三セクターという方式を採用せずに、あくまで出資者として受賞企業を支えていく制度です。(※当然、出資金額については、出資可否も含め受賞者と協議して決定する方式となっています。)
創業間もない、あるいはこれから起業を志している方もこのアワードへ参加でき、市が出資者として支えてくれることは他にはない大きなポイントとなっています。
二つ目はビジネス展開に向けたPR支援の実施。深谷市としては一連のアグリテック戦略において様々な広報施策を用意しており、多数のメディアに取り上げられる注目の取り組みです。そのPRの中心に受賞企業がいることにより、市の取り組みとしても大きなプラスとなるし、同時に受賞企業においても大きなメリットとなります。
三つ目は実証フィールドの提供、四つ目は地元企業との協業が特典となっています。この2つのポイントはアグリテックに取り組む事業者にとって、特に大きな特典です。
これまでの連載でも取り上げてきた通り、農業界で事業をおこなうには、地域経済とのかかわり、産地の農業者の皆さんとのネットワーキングは最も大きな要素となります。受賞企業に対しては、このポイントを押さえるべく市がしっかりと協力体制をとってネットワーキングを手助けし、実証する場所を提供してくれる。事業をおこなっていくのにこの上無く心強い特典が付きます。