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社会問題を解決するために 「ビジネス以外の道」を知っている頼もしい人たち (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 冒頭のイベントには法政大学経営学部教授の木村純子さんと登壇した。木村さんは欧州や日本の農村政策を研究されている方だ。特に欧州ではイタリアの農村のあり方に詳しい。

 「EUでは農業政策ではなく、農村政策という表現をとります」と彼女は話すが、これはどういうことか。

 農作物や農産物だけで地域が経済的に自立するのは極めて厳しいケースが多い。だから、そこでの経済合理性を追求すると、農村の役割としてある自然環境の整備や景観美の維持向上という側面へのケアが後退してしまう。

 したがってEUでは農村への補助金を「払うべきコスト」として考えている、というのだ。

 農村ツーリズムや農産品のブランド化を否定するわけではない。もちろん、そういう企画と実施があっていい。ただ、「そこにしか我々の生き残る道はない」と農村の人々に思わせてしまう社会全体にある圧力が、結果的に自然環境のバランスを徐々に壊していく。

 即ち、二酸化炭素排出は地球環境に重大な問題をもたらしているから内燃機関から電気で駆動する自動車に移行しないといけないと声高に話し、その一方で農村の人々も創意工夫で自立策を考えるべきだと主張する都会に住む人たちは、全体を把握した気になっているが何もわかっていない…とぼくは思わないでもない。

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