最強のコミュニケーション術

「同調圧力」で説明しきれない 善意によるワクチンハラスメントの“正体” (2/3ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

インターネットの功罪2 確信を深める「エコーチェンバー現象」とは

 「エコーチェンバー」とは音楽などの録音を行う「反響室」が語源です。自分と同じ意見の人がいる狭いコミュニティでは、音が反響するように、似たような意見が返ってくる傾向があります。何度も似たような意見に触れていると、それを正しいと思う気持ちが強化されます。SNSなどで自分と似た興味関心のある人をフォローすると、自分の発信には似た意見が返ってくるため、例えば「ワクチンにはマイクロチップが入れられている」といった説も信じる人が出てくるのです。

 アメリカ大統領選挙の後、「バイデン氏の不正が暴かれトランプ氏が復活するXデーが来る」といった説を主張していた人々がいました。何度もXデーが延期されたのち、彼らが主張しているようなことは起きなかったわけですが、そのような経験をしても「自分は間違っていた」「デマを広めてしまった」といった、省みる行為はしていないようです。

 コロナワクチンに関しても「打ったら2年以内に死ぬ」といった過激な説を主張している人もいるようですが、2年を過ぎて何も起らなかった場合にでさえ、言動を省みないということが予想されます。間違いだとわかったときでさえそうなのですから、まだわかっていない段階で人から反論されても考えを変えるのは難しいと思われます。

 「信じやすく、忘れやすい、間違いも省みない」という人たちとは、正論でやり合うよりも波風が立たない対処で自分の心を守る方がいいかも知れません。

ワクチンハラスメント!? 違う意見を押しつけられたときの対処法

 ワクチン接種に限らず、正しいと思うがゆえに、親切心から意見を押しつけられるということは少なくありません。気合いで何とかなるという仕事論、昔ながらの子育て論、男はこうあるべき女はこうあるべきというジェンダー論などなど、悪気のない押しつけに困ってしまった経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。

 親子や夫婦など親しい相手でしたら「しっかり話し合う」という選択肢もありますが、そうでもない相手の場合、どうかわせばいいのでしょうか。波風を立てたくない相手への対処ポイントは、以下の3点です。

1.相手の意見は否定せずに最後まで聞く

 自分が正しいと信じていることを、親切で教えてあげようという気持ちの人が多いと想定しておきましょう。途中で話しを遮ったり、否定したりすると、感情を害してしまいます。不快なのは「主張」であって、話しているその人ではありません。話は穏やかに最後まで聞くのがよいでしょう。批判的な気持ちになったときには、自分にもフィルターバブルやエコーチェンバー現象が影響していると考えましょう。

2.同調や肯定にならない相槌を使う

 トラブルを避けたいばかりに同調してしまうと、後が大変ですし、職場の人たちへの影響も心配です。話を聞いていること、理解したことは伝えたいですが、同調や肯定にならない相槌を選んで使いましょう。

《例》

「なるほど、そういう説があるんですね」

「いろんな考え方があるんですね」

「私の知らない情報でした」など

3.違う意見を言うときには正しさの主張は控えめに

 自分は違う意見であり、議論したくないという場合には、自分の意見を相手に言わなくてもOKです。相手から訊かれたときなど、意見を言わなければいけないときには、正しさを主張し過ぎないように伝えましょう。テクニックとして、意見の前に「個人的には」をつけるのがお勧めです。あくまで個人の意見であるということが伝わるため、相手が否定されたような気持ちになりにくいです。

 この3つの対処法はワクチン接種だけでなく、コロナ禍での外食や旅行など、考え方が違う人と対立しそうなあらゆるシーンに使えるので覚えておくと便利です。

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