その日は、他の受付嬢の皆さんの使っていない制服などを借りてなんとか業務に就くことができました。
隠されたロッカーの鍵が見つかったのは数年後のことでした(笑)忘れていた頃に見つかって、その時には笑い話にできましたが、鍵を隠された当時は「この現場はロッカーの鍵は徹底的に自己管理しなければいけない」「スペアキーの管理も徹底せねば!」と切実に感じました。
この“事件”に直面した時は「テレビで見たことある嫌がらせだな」と思いつつ、私を歓迎していない人がいるという事実に、ちょっと参りました…。しかも入社直後のことです。陰湿な嫌がらせをされて、その嫌がらせをした可能性のある同僚と何事もなかったかのように笑顔で一緒に働くにはタフさが要求されました。
恐怖の体験その3
派遣社員と正社員の露骨な格差
これは、私が短期で働いた現場で起きたことで、私が退職後に起きたことです。
その企業の受付スタッフは正社員と派遣社員で構成されていました。短期間の就業であったにもかかわらず、私自身もさまざまなシーンで「働きづらさ」や「格差」を感じた現場でした。退職後に、その企業で受付嬢を続けていた仲間から「困っている」といった内容の連絡をもらったのです。
正社員の人が派遣社員の人についてクレームや告げ口をしているというのです。
「派遣の受付嬢がサボっている」
「ネイルが派手だから、派遣の人はネイル禁止にしてほしい」
これを聞いた時に「やっぱり辞めておいてよかったな…」と思いましたが、そもそも「派遣の人が…」という表現に差別を感じます。
正社員がリーダーを務めているわけなので、問題視するのであれば、告げ口をする前にみずから現場で話し合いを開くべきだと思います。それを派遣社員たち本人にではなく上司に言いつけるという行為が非常に残念だなと感じました。
雇用形態というのは、働き方の種類の話で、優劣を区別するものではないと思います。当時、「正社員が偉い」「派遣は他所者だから、待遇に格差をつけて当たり前」と考えている日本企業がまだ存在することに恐ろしさを感じました。現在もなお、その企業が有人受付を継続しているか、受付メンバーの構成がどうなっているかなどは不明です。
受付嬢というのは、派遣社員として働くことが多く、契約更新もほとんどが3ヶ月サイクルという短い期間でやってきます。それゆえ、転職回数が必然的に増え、「派遣切り」に遭うこともあるため、様々な企業の裏側に触れる機会が多かったように感じます。そういった経験が、今となっては「経営」という仕事に活かされていると感じることがよくあります。
ゾッとさせるのは幽霊ではなく人間
社会人として生きていく上で、改めて基本的なことを気付かされたのが今回ご紹介した「恐怖体験」ともいうべき陰湿な嫌がらせです。
- 嘘はつかない
- 人が嫌がることはしない
- 仕事の恨み(!?)は仕事で晴らす
それと同時に、私には必ず助けてくれる人や理解してくれる人がいました。嫌な思いをして負の感情を膨らますよりも、助けてくれた人に感謝を抱き、自分も助ける側に回りたいと思わせてもらいました。何よりも、「自分がぶれないことが一番大切だ」ということも実感しました。嫌がらせをされたから、同じ嫌がらせを仕返す…これでは結局自分もその人と同じ土俵に立ってしまうことになりますよね。
社会において、ゾッとさせるのは幽霊ではなく、実は人間なのではないでしょうか。一方で、心を温めてくれたり、支えてくれるのも人間であることも忘れてはならないと思います。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。アーカイブはこちら