長寿企業大国ニッポンのいま

DX時代の人材戦略 なぜ事業承継で「リスキリング=再教育」が重要視されるのか (2/3ページ)

葛谷篤志
葛谷篤志
  • 業務の効率化による生産性の向上
  • 既存製品・サービスの高付加価値化
  • 新製品・サービスの創出
  • 既存事業のビジネスモデルの根本的な変革
  • 企業文化や組織マインドの変革

 特に残業問題などが顕在化している日本企業にとって、DXを活用した業務の効率化・生産性の向上は急務だ。しかし、各企業はそれぞれが抱える課題にあわせてリスキリングへの取り組み方・実施の仕方を工夫しなければならない。つまり、経営者は自身の企業の課題を正確に捉え、取り組み方を選択していく必要があるのである。

なぜ事業承継に「リスキリング」が必要なのか

 2020年の日本企業の経営者の平均年齢は60.1歳と60歳を上回り、事業承継が必要な企業が増えていることがわかる。同時に、市場の変化に対応しながら事業を維持することを考えるにあたり、事業の変革を前提とした後継者を探す必要が出てきている。今までの会社の資産を活かしつつ、デジタル、ITを組み込んで事業に変化を与えることが重要なのである。

 しかし、後継者のみがデジタルに明るい、後継者のみがIT活用スキルを有するというだけでは企業の存続は維持できない。企業の社員全員に企業の変革を推進してもらわなければならず、その準備としてリスキリングを取り入れる必要あると考える。

 高齢化・人口減の日本において、労働時間減や採用難による労働力の減少が想定される。リスキリングで習得したスキルでITなどを取り入れ業務を効率化することが中小企業にとって重要なのである。

 さらに、リスキリングの特徴である「業務の延長線上ではない学び」を得ることで社員から新しい事業のアイデアが生まれたり、学びを得ることで社員のやる気を促進させることにもつながる。

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