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あなたの職場に「困っている人」はいないか? 自分と向き合う東京パラリンピック (1/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 我が国では2回目の開催となるパラリンピックが始まった。オリンピックの開会式はテーマが見えない、出るべき人が出ていないなどと酷評されたが、パラリンピックの開会式は「空港」と「片翼の飛行機」というコンセプトが明確で、布袋寅泰のサプライズ登場などもあり、評価は概ね上々のようだ。

 今回はこれを機に「困っている人」との向き合い方について考えたい。近年「多様性」が叫ばれて久しいが、叫ばれ続けているということは、それが実現できていないことを物語っているようにも思える。パラリンピアンたちの活躍に涙しながらも、目の前にいる「困っている人」に無頓着になってはいないか。

 その「困っている人」は、身体が不自由な人だけではない。パラリンピックを機会に、「立場が弱い人たち」のことについて考えてみよう。

 選手のありのままの物語に注目を

 パラリンピアンたちには物語がある。まずは、彼らがどのように困難を乗り越えてきたのかに注目したい。

 言うまでもなく、選手たちの人生も、抱えている障がいも多様である。先天的に心身に障がいを持って生まれた人もいれば、病気や事故によって人生が変わった人もいる。もともと他のスポーツでアスリートとして活躍していた人も、スポーツとは無縁だった人が身体が不自由になって、パラスポーツを始めたことでパラリンピックに出場した例もある。

 さらにはオリンピック選手たちと同様、この新型コロナウイルス禍でスポーツをすること、パラリンピックに参加することについての葛藤もあるだろう。それらを選手たちはどのようにして乗り越えるのか、メディアが特集を組む際はぜひ注目してみてほしい。

 今日は「人生100年時代」と言われて久しい。日本人の平均寿命も健康寿命も伸びており、世界トップクラスである。ただ、長生きするということは、突然健康上の変化が起こりうるということだ。仕事をする上でも、常に自分自身の健康と向き合いつつ働かなくてはならない。

 パラリンピアンと向き合うことは、未来の自分と向き合うことにもつながるように思える。それは、職場や取引先で、心身の健康問題を抱えて働く人たちを理解する上でもだ。そういう視点でパラリンピックを考えたい。

 いま、そこにある「生きづらさ」について

 やや語弊があると思うが、目に見えない心身の不自由というものがある。たとえば、心の病に苦しんでいる人や、発達障害の当事者などだ。

 フリーライターの姫野桂さんは、発達障害の当事者である。これまで発達障害をテーマに書籍を書いてきたが、このたび初のエッセイ『生きづらさにまみれて』(晶文社)をリリースした。彼女自身の、いや今どきの日本社会の生きづらさが、ここによくまとまっている。特に鬱やリストカット、発達障害、コロナによるアルコール依存などの当事者としての告白が生々しい。

 あなたの職場にも、体調が悪い人、うまく馴染んでいない人はいないだろうか。真面目に取り組んでいてもミスが多い人などをみたら、責めるのではなく、まず「生きづらさ」と直面していないかを考えてみてほしい。

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