働き方

センキョ割で若者を投票に、「選挙割協会」代表理事の目指すもの

 【TOKYOまち・ひと物語】選挙に行くと、お店で割引サービス-。ちょっと楽しい仕掛けで投票率向上を目指すのは、一般社団法人「選挙割協会」の代表理事を務める佐藤章太郎さん(48)だ。低迷が続く投票率を少しでも上げるために若者を活動の中心に据え、投票済み証明書などを協力店舗で示すと割引サービスなどを受けられる「センキョ割」と称した取り組みを全国で進めている。(永井大輔、写真も)

 「あくまできっかけ」

 センキョ割は平成24年12月の衆院選からスタートし、佐藤さんを監督役として学生が活動の中心を担ってきた。協力してくれる店舗を探して交渉したり、ビラ配りやSNS(会員制交流サイト)で発信したりして、取り組みは全国に広がりつつある。

 7月4日に投開票された東京都議選では、都内の約200店舗が協力し、ラーメンの替え玉やドリンク無料などのサービスを提供した。国内だけでなく、活動に参加した留学生を通じて、ドイツやルーマニアの欧州議員選挙でセンキョ割が行われたこともあった。

 「センキョ割はあくまできっかけ。割引を投票の動機にするのは不純という声もあるが、まずは投票に行くことが大事です」。割引を足掛かりに、一人一人の社会参加意識の向上を目指している。 

 活動当初はトラブルもあった。25年、ある自治体の市長選で、選挙割と称して立候補者が自身に関係する会社で投票後の割引サービスを行ったのだ。佐藤さんの取り組みとは関係なかったが、名称が似ており、公職選挙法に違反する疑いもあったことから批判を浴びたという。

 その直後、佐藤さんは「センキョ割」で商標を取って名称を統一。全国に名前の浸透を図るとともに、公選法などに抵触しないよう、立候補者と関係する企業や店舗は割引対象としないなどのルールを設けた。

 全員参加の環境を

 活動資金はほとんど自腹で、借金をしながら運営しているという。学生のころから政治や市民の社会参加意識向上などについて興味を持って考え、卒業後は塾講師をしながら若者と携わってきた。

 若者が選挙に興味を示さないのは、政治や社会との接点が小さいから-。若年層の投票率が低い理由をこう考え、センキョ割の活動の中心に学生を据えた。「普段とは違うコミュニティーに身を置いて、センキョ割の活動で選挙に関わってもらいたい」と、若者が社会とつながる活動を実践している。

 都議選では、新型コロナウイルスの影響で大きなイベントを開けず、協力店舗数も伸びないなど、手応えはよくなかった。それでも「とにかく継続。やり続けることが重要です」。10月に任期満了を迎える衆院選も目前に迫っている。

 「投票率50%以下の選挙に民意はあるのか」「一部の人の意見(投票)で国のかじ取りが決まっていいのか」。そんな問題意識を持ちながら、学生たちと一緒にセンキョ割の準備を進める。

 「大それた夢かもしれないが、センキョ割をきっかけに、きっちり全員が参加して社会のルール、政治をつくるという環境をつくりたい」。そう力を込めた。

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