働き方ラボ

会社の“菅義偉部長”を考える 「伝わらない」コミュニケーションが持つリスク (2/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 あなたの職場に“菅義偉部長”はいないか?

 こうした我が国における「大問題」が、あなたの会社では発生していないだろうか。今度は自分たちの職場について考えてみよう。あなたが所属する組織に、菅首相のような部長、小泉氏のような課長はいないだろうか。つまり、言っていることがよくわからない聞いていることに答えない部長と、その想いを伝えようとするのだが、上滑りしてうまく伝わらず笑いのネタにされるような課長である。仕事でやりとりをする管理職がこの2人のようだと、日々の業務で混乱が生じるのである。それは社内のコミュニケーションで困るだけでなく、顧客や取引先に迷惑をかけることにもなりうるのだ。

 菅首相的な部長は、まさに「同質化社会」が生んできたと言っても過言ではない。同じような属性の集団でやってきた環境では、コミュニケーションが多少下手でも、説明をせずとも伝わる“空気”があり、上意下達で現場はまわったのだろう。しかし、働く人も多様になっている上に、不確実なことが日常的に発生する今どきの会社と社会では迷惑なのである。何より、確実に仕事をやっていたとしても、伝わらなくては意味がない。

 小泉氏的な課長も、本来であれば経営と現場をつなぐ仕事をしなくてはならない。しかし、両者の架け橋としての仕事をまっとうできず、発言は上滑りし、気づけば失笑の対象とされているのである。

 説明下手な上司のトリセツ

 我々ビジネスパーソンは、自身が彼らのようにならないように気をつけつつ、いざこの手の管理職のもとで働くことになった場合、どのように対処するかを考えなくてはならない。常に「これは相手に伝わるだろうか」「相手が見たらどう思うか」と、相手の立場に立つ姿勢が必要であることは言うまでもない。そして、この手の管理職にぶち当たったら、ツッコミ続けなくてはならない。感じが悪いと思われない程度に、「よく分からないのですが」「具体的にはどういうことでしょうか」とツッコミを入れ続けるのだ。他の管理職を焚き付けて、ブレーキ役にするのも手である。会見打ち切りばりに、コミュニケーションを中断されてしまうと、もう絶句するだけなのだが。

 菅首相は、まるで総務部長が諸事情で社長になったような印象だった。最後まで首相になりきれたのか、よくわかなかった。小泉氏も菅首相の片腕には見えなかった。私たちは、日本がよりよくなることを祈りつつ、彼らをうまく反面教師にする必要がある。この機会に彼らから学んではいけないことを確認し、職場に活かしていこう。パンケーキを食べつつ、考えよう。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら。その他、YouTubeチャンネル「常見陽平」も随時更新中。

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