かつて、そうした既存の金融サービスから漏れた層に対しては「信用が低くても貸して、強引にでも取り立てる」というサラ金や消費者金融のビジネスモデルしか存在しませんでしたが、Paidyは実にスマートな形態で解決策を提供したと言えます。そして、そのような層への「提供側から見るとハードルが高い」サービスを構築できると今度は
既存顧客を破壊的に奪う
という好循環が始まります。「クレジットカードを持てない人」へのサービスとして始まったのが、「クレジットカードを持つ必要がない」という層を作り出すのに至るのです。
「本当に参入障壁なのか?」に新規事業のヒント
金融機関が膨大な経験と優秀な人材によって与信審査をしているが、それは本当に彼らにしかできないのか?
マーケットはすでにわかりやすく存在するわけですから、「参入障壁(だと思われているもの)」を明確化し、突破口を見つけ出すというのは「何か新しいサービスはないかな~」と漠然と考えるよりも「新規事業」として狙いやすいものなのです。
「『分割払いでも利息なし』って無茶苦茶だ」という考えも、「手数料は店側が持てばいい。売れないよりはいいでしょ」という、これまたテレビショッピングなどで昔から存在した「分割手数料は無料!」という仕組みでPaidyはあっさりと突破しています。既存の金融サービス企業はなかなか踏み出せなかったのではないでしょうか。
小さな企業群が泥臭く始めたBNPLのサービスは、構築したシステムを大企業が買収し始めるというフェーズに入りました。PayPalを創業し、売却した後にもその資金を元に次々と新しいことに挑戦・投資している“PayPalマフィア”と呼ばれる起業家たちのように、売却後も次の「破壊」に向けて既存サービスの不具合に目を向けているのかもしれません。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら