先日、ヨーロッパのある大学の学長がウェビナーで話していた。
「うちの経営学を学ぶ学生たちも、ソーシャルイノベーションに強い関心を抱いていている」と。
かつて、経営学を学ぶ学生はビジネスでの成功に至るまでの最短ルートに夢中になるタイプが多かったのが、その学生たちが変わってきている。その変化に学長自身が驚いているのだ。
やはり、今の社会のありように不具合があると認識している若い人たちが多い。その不快感と地球環境への不安感が、どれだけ直接に繋がっているかは不明だ。少なくても、不快感や不安感に大人は正面からケアしないといけない。
若い人たちも自分たちですべてできることなんて限定的だから大人に頼んでいる。
それを「若い世代を頼りにしているよ」との見せかけの言葉でごまかそうとするから、ユースウォッシングと批判される。大人はすれ違いの構図を意図的につくっているのではないかとの疑心暗鬼もある。
政治の混乱、自然災害、戦争のさなかに「明日はくるのだろうか?」と思った人々もいた。いや、現在でもいる。パンデミックはまさに現在進行中でアフガニスタンやミャンマーもその一例だ。学校でいじめにあって明日が見えない日本の子もいる。
そうした状況があってなお、気候変動により明日への希望が見えないと憂え、なんとか大人が行動して欲しいとの若い世代の願いが出ている。
彼ら・彼女らの感性に敏感にならないといけないと自省している。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。