味の素、培地事業で合弁会社を設立 再生医療市場の拡大見込む

会見を終えて握手を交わす(左から)コージンバイオの中村孝人社長、味の素コージンバイオ社長就任予定の鎌田創氏、味の素専務執行役員の福士博司氏=22日、東京都中央区
会見を終えて握手を交わす(左から)コージンバイオの中村孝人社長、味の素コージンバイオ社長就任予定の鎌田創氏、味の素専務執行役員の福士博司氏=22日、東京都中央区【拡大】

 味の素は22日、培地事業を手がけるコージンバイオ(埼玉県坂戸市)とともに合弁会社を設立し、再生医療で用いる培地の受託製造事業に参入すると発表した。再生医療市場の拡大で需要増が見込まれ、2025年には売上高50億円超を目指す。

 培地は細胞培養に使われる栄養を含んだ液状物質で、再生医療に用いるiPS細胞などの培養に不可欠とされる。

 新会社は6月に設立され、来年にも生産を始める。埼玉県坂戸市に本社を置き、資本金は9.5億円。出資比率は味の素が51%、コージンバイオが49%。社長には味の素バイオ・ファイン研究所の鎌田創氏が就く。

 味の素は、iPS細胞用の培地「ステムフィット」において国内で高いシェアを占める。

 同日、東京都内の本社で会見した福士博司・味の素専務執行役員は「合弁会社が培地の供給を通じ再生医療の面で健康社会の実現に大きく寄与できる」と述べた。

 培地や試薬など再生医療用材料の世界市場規模は、30年に1兆円、50年には3.5兆円と予測される。

 富士フイルムホールディングスは約850億円を投じ、培地事業を手がける2社の買収を発表している。