日本海洋掘削が破綻 地球深部探査船「ちきゅう」がピンチ? (1/2ページ)

 石油や天然ガスの掘削を請け負う日本海洋掘削が経営破綻した。スポンサーの選定などを通じて再建を目指すが、地球深部探査船事業への影響が懸念される。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆世界の海で石油掘削

 日本海洋掘削は負債904億円(単体)を抱え、6月22日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した。同日、都内で記者会見を開いた。

 会見には市川祐一郎社長、申請代理人の近藤直生弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)らが出席。冒頭、市川社長が債権者などのステークホルダーにお詫びし、連結ベースの負債総額は860億円に上ることを明らかにした。

地球深部探査船「ちきゅう」(海洋研究開発機構のホームページより)

地球深部探査船「ちきゅう」(海洋研究開発機構のホームページより)

 同社は石油や天然ガスの海洋掘削事業会社として1968年に設立。世界の海域で石油や天然ガスの掘削を担う国内唯一の会社だ。

 原油価格の下落に伴う石油会社の掘削投資の減退で、日本海洋掘削は2016年3月期から3期連続で当期純損失を計上した。

 2016年まで続いた原油価格の低迷により、各国の石油会社でリグ稼働をペイできない状態が続き、世界的に稼働数も低迷。日本海洋掘削もその影響を受け、受注が減少した。

 補てんを目的にメタンハイドレート産出試験など石油掘削以外の事業にも積極的に乗り出したものの、採算が厳しい状態が続いた。

◆「ちきゅう」の運用に障害は?

 日本海洋掘削は、国立研究開発法人「海洋研究開発機構」の地球深部探査船「ちきゅう」の窓口業務と管理を手がけている。

「ちきゅう」のオペレーションは別会社だが…