【eco最前線を聞く】住友商事、全社横断で水素の収益モデルを模索 (1/3ページ)

住友商事が国内の独占販売権を持つ英ITMパワーの水素製造装置
住友商事が国内の独占販売権を持つ英ITMパワーの水素製造装置【拡大】

 2020年の東京五輪・パラリンピックで水素技術を世界に発信しようという機運が高まるなか、住友商事では昨年5月に「水素関連ビジネスワーキンググループ」を社内に設置、部門横断で取り組んでいる。まず、英国の大型水素製造装置メーカーと提携し、風力発電など再生可能エネルギー事業者向けに同装置を売り込む。再生エネ由来の電気で水素を作り、二酸化炭素(CO2)排出をほぼゼロにする「CO2フリー」を全面に、水素の価値をさらに高める考えだ。「水素関連のさまざまなサービスを開発して収益モデルを作りたい」と近藤真史・エネルギー本部戦略企画チーム長は意気込む。

 再生エネと組み合わせ

 --昨年7月に、英ITMパワーと戦略提携した

 「ITMの水電解装置は、イオン交換膜を用いた固体高分子型水電解による水素製造技術。1000キロワット級の発電設備の水素変換に対応できる大型装置を得意とする。2000キロワットであれば、20フィートコンテナに収納できるコンパクトさがウリで可変性に優れる。再生エネによる電気を素早く純度の高い水素に変換できるのが特徴だ。日本市場向けの独占販売権を取得した」

 --ITMの欧米での実績は

 「欧州の燃料電池車(FCV)のバスステーション向けなど合計1万4000キロワット分の納入実績がある。19年末に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが持つドイツの製油所向けに世界最大級(1万キロワット規模)の同社製の水素製造装置を導入する計画だ」

 「提携のシナジー効果で、今後は日本に加えアジア、オーストラリアの市場開拓も一緒に進めたい。国策で水素技術を進める中国も大きな市場で、住友商事は昨年、中国企業の安泰環境と水素技術の協力覚書も結んだ」

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