サイバー技術 世界需要、右肩上がり 背景に被害深刻化

「RSAカンファレンス」会場のイスラエル(奥)と韓国(手前)のパビリオン=3月上旬、米サンフランシスコ(共同)
「RSAカンファレンス」会場のイスラエル(奥)と韓国(手前)のパビリオン=3月上旬、米サンフランシスコ(共同)【拡大】

 情報セキュリティーの世界市場が急拡大している。ドイツのオンライン統計会社「Statista」によると、2018年の市場規模は前年比10%増の約1510億ドル(約17兆円)に上ったもようだ。今後も右肩上がりを続け、5年後の23年には約2480億ドル(約28兆円)に拡大すると予測している。

 背景には個人情報流出や仮想通貨盗難など深刻なサイバー攻撃被害がある。「IoT(モノのインターネット)」機器の普及によって、ハッカーに狙われる対象も増えている。IT化が進めば進むほどシステムを守るセキュリティーの需要も増える構造だ。

 日本の国内市場も成長を続ける。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調べでは、18年度に初めて1兆円を超える見通し。

 ただ国内でも、海外製のソフトウエアや機器の競争力が高いため「多くの利益は海外に流れている」と指摘する業界関係者もいる。

 巨大市場の獲得を狙い世界の企業がしのぎを削る。セキュリティーの技術開発が盛んな国としては米国、イスラエル、カナダ、ドイツ、チェコなどが挙げられる。

 日本企業が世界で存在感を示すためにはどんな方策があるか。世界市場について調べた日本貿易振興機構(ジェトロ)国際経済課の伊尾木智子氏は「技術を持つ海外企業と提携して共同開発に取り組むことが考えられる。国内市場と海外市場を同時にやっていけば、可能性はあるのではないか」と話している。