取引先での打ち合わせ当日。現地で待ち合わせた部下から、「あのう、すみません、資料忘れちゃって」と言われた。あなたは前日に「資料忘れないでね」と念を押したはずだった。なぜ忘れてしまうのか。この怒りをどうすればいいのか。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は「怒る相手がいるとすれば、それはあなた(上司)自身」という。どういうことなのか--。
※本稿は、鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)を再編集したものです。
メンタルコーチの仕事についての大きな誤解
「メンバーが思うように動いてくれない」。これは、多くのリーダーにとって普遍的な悩みでしょう。では、どうすれば部下自らモチベーションをもって動いてくれるようになるのでしょうか。実はこれは、あなたがメンバーに対し「どんなふうになってほしいと思っているか」によって大きく変わります。
スポーツメンタルコーチである私の仕事の目的はなんだと思いますか。「アスリートに成果を出してもらうこと」だと思っている人が多いと思います。実際、ご依頼くださるアスリートやその親御さんは、そのつもりでいると思います。
しかし私は、担当しているアスリートに結果を出してもらうことを目的にコーチングを行っているわけではありません。目的にしているのは、クライアントのみなさんに「幸せな人生を送ってもらうこと」です。「結果を出すこと」は、クライアントが幸せな人生を送ることの中に含まれる、と認識しているのです。
「結果」に固執するリーダーは失敗する
アスリートの場合、まず「幸せになる」という人生の目的があって、それを達成するために「金メダルを取る」とか「アジア選手権で優勝する」といった目標を掲げます。「金メダルを取ること」そのものを人生の目的にしてしまうと、その目標を達成した瞬間に目的がなくなり、その人が“生ける屍”になってしまいます。
目標を達成できなかった場合も同様で、金メダルを取らないかぎり、その人は一生、幸せになれないことになってしまいます。
アスリートに幸せになってもらうのが目的であるため、コーチングを行う過程で、競技に集中することがそのアスリートの幸せにつながらないと気づいた場合、あえて引退後のプランにフォーカスするケースもあります。