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ニコニコするのは大企業だけ 7割の人は無縁、“ボーナス過去最高”のウソ (1/4ページ)

 大企業の冬のボーナスが過去最高となった。しかし、ある金融機関の調査では、中小企業のボーナスは平均で前年比より減っており、支給しない企業も4割あった。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「浮かれているのは大企業だけ。働く人の7割が中小企業勤めなのに、その実態はあまり報じられない。さらに非正規であれば、ボーナス支給すら望めない」と指摘する--。

 ボーナス過去最高額はたった「0.3%」の大企業の話

 2018年の冬のボーナス額は過去最高らしい。経団連の調査では平均支給額は95万6744円。2年ぶりに前年を上回り過去最高となったが、これは加盟する大企業の平均である。

 また、日本経済新聞社がまとめたボーナス額は前年比3.28%増の83万4391円。こちらは主に上場企業の平均だが、やはり過去最高を記録したという。

 このように大手企業の社員のボーナスが高いのは好調な企業業績を反映したものだが、アベノミクスによる円安・株高の恩恵を受けているのも確かだ。

 ではその恩恵は中小企業にも浸透しているのだろうか。

 大阪シティ信用金庫が実施した取引先の中小企業(1043社)の冬のボーナス調査(昨年11月27日)によると、ボーナスを支給すると回答した企業は60.8%。つまり残りの39.2%の企業では「ボーナスを支給しない」と回答している。

 支給企業の平均は27万6486円。前年に比べて1万2657円の減少だ。従業員50人以上の企業に絞ると、平均は29万8661円となるが、こちらは前年比4万6839円の減少となっている。

 アベノミクスや大企業の好業績が中小企業に浸透していないばかりか、大手企業と中小企業の格差がますます拡大していることがわかる。

 中小企業庁によれば国内にある企業約421万社のうち99.7%が中小企業を占める。また、従業員数でも、全体で4013万人のうち、約7割にあたる人が中小企業に勤めている。

 「働いている人」の大多数は中小企業の社員であることを考えると、「ボーナス過去最高額」と浮かれるのは、実態とはかけ離れている。

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