ヘルスケア

どうする病床確保 公的病院に偏る負担、民間の協力は… (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療体制の逼迫(ひっぱく)を受け、病床確保のための病院間の連携強化や機能分担を求める声が高まっている。コロナ対応は公立・公的病院に負担が偏りがちで、民間病院の協力が不可欠。将来の高齢化を見据えて進められていた「地域医療構想」の議論はコロナ禍でつまずいたが、有事に地域の医療資源をどう効率的に活用するかの検討が急務となっている。(三宅陽子)

 「ベッドは数多くあり、民間病院に働きかけていることも事実だ」。13日の記者会見で、菅義偉首相は手詰まり感が漂う病床確保の打開策をこう説明した。

 同日時点のコロナ用の確保病床は全国2万7728床で、救急医療などにあたる急性期病床約73万床の4%に満たない。全国にある急性期病院のうちコロナ患者の受け入れが可能なのは公立が約7割で、民間は約2割にとどまっている。

 一方、民間側には院内感染や風評被害、患者減少に伴う経営難への懸念が根強く、対応に及び腰だ。医療界からは「余裕のある(民間の)医療機関に対応を求めるとはいっても、感染対策に不慣れなところもある。クラスター(感染者集団)の発生につながれば悪循環に陥る恐れもある」との声も上がる。

 実は、地域医療の在り方をめぐる議論はコロナ禍以前から始まっていた。

 国は地域医療構想で、団塊世代全てが75歳以上となる令和7年に向け、急性期病床を減らし、リハビリなどの回復期への転換を促す方針を表明。約440の公立・公的病院を挙げ、再編・統合の検討を促した。地域内の民間病院の機能も踏まえ、自治体側に昨秋頃までに方向性を示すよう求めたが、コロナの感染拡大で軌道修正を迫られた。

 厚生労働省によると、第1波の頃、再編・統合の検討対象のうち72病院がコロナ患者の受け入れを担った。その後もコロナ対応の中心は公立・公的病院で、厚労省は「冬の感染状況をみながら、改めて具体的な工程の設定について検討する」との方針を示すに至った。

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