ヘルスケア

大阪「見張り番指標」改善へ 拡大傾向の早期把握目指す

 新型コロナウイルスの変異株が若年層を中心に広がっている。大阪府は20~30代の新規感染者数の「見張り番指標」に基づき、3月22日に感染再拡大への警戒を呼びかけた。ただ専門家は約2週間前に「要注意」の警告が出ていたと指摘する。変異株が若年層を含め、急速に拡大し重症化しやすい傾向にあるとすれば、再拡大の兆候の早期把握はさらに重要になる。

 吉村洋文知事は9日、記者団に対して、「見張り番指標は機能している」としたうえで、これまでは従来型をベースにした指標であり、感染が拡大している変異株に即した指標に改善していく考えを示した。

 見張り番指標は、府の専門家会議座長を務める大阪健康安全基盤研究所の朝野(ともの)和典理事長が2月に提案。府は3月18日、過去に若年層から感染が拡大したことを踏まえ、1~2週間後の感染状況を予測するため独自に指標を設けた。

 具体的には、20~30代の新規感染者の7日間平均が(1)おおむね30人以上(2)前日比が4日連続で1を超える-の両方を満たした場合、府民に警戒を呼びかける。

 初めて(1)と(2)を満たしたのは3月20日の土曜日。府は22日、警戒の目安に達したとして首都圏との往来自粛などを求め、同日以降も飲食店への営業時間短縮要請を継続した。それでも新規感染者や重症者の急増は止められず「医療崩壊の危機」(吉村氏)に直面している。

 朝野氏によると、指標決定前の3月5日が一つの転機だった。同1日の緊急事態宣言解除後初めて(2)を満たし、朝野氏は同26日の対策本部会議に「5日にアラート(警報)が出ている。増加の局面が明らかになったのは3月10日以降」との意見を寄せた。

 実際、20~30代の新規感染者の7日間平均は3月に入って増加傾向に転じ、24日に50人を突破。28日に100人、今月2日には200人を超え、9日は297・14人となった。早期に再拡大の兆候を把握するため、朝野氏は、20~30代の新規感染者の7日間平均が「下げ止まって上がり始めたときは要注意だ」と指摘する。

 課題は若年層への訴求力だ。朝野氏は若者による会議体で感染症対策を考え、自ら行動変容を訴えるメッセージを発信すべきだと提案する。吉村氏は、若年層との危機意識の共有について「本当に難しい」とした上で「若い世代も重症化しやすいということを数字の根拠を示して伝えたい」と述べた。

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