ヘルスケア

コロナ禍で小中高生の自殺最多、SOS把握にICT活用を

 児童生徒の自殺予防策を検討する文部科学省の有識者会議が25日開かれ、ICT(情報通信技術)を活用して子供たちからのSOSを早期に把握する仕組みづくりなどを求める提言案をまとめた。新型コロナウイルス感染が拡大した昨年の小中高校生の自殺者は過去最多となっており、同省は表現に修正を加えた上で正式な提言として、学校現場に対策強化を周知する。

 厚生労働省などの集計によると、昨年自殺した小中高校生は前年から100人増の499人。統計のある昭和55年以降で最多となり、一斉休校が明けた6月などに急増が目立った。今年も5月までの自殺者が計192人に上り、各月とも昨年を上回っている。

 自殺者の急増について、提言案は「コロナ禍で、家庭や学校の支援機能が低下している」と分析。一斉休校や在宅勤務の拡大を受け、子供が保護者と家庭で過ごす時間が増えたことで、家族間の衝突やストレスの高まりが生じた。一方、家庭に居場所がない子供の避難場所となる学校でも、教員の多忙化や行事の相次ぐ中止といった環境変化で息抜きやストレス解消の機会が減ったとした。

 提言案は喫緊の対策として、ICTの活用を要望。多くの自治体がすでにSNS(会員制交流サイト)を使って子供の不安や悩みを早期に把握し、スクールカウンセラーらへの支援につなげる手法を取り入れ、効果を上げている。ほぼ全ての小中学校に配備が完了した1人1台の学習用端末を使い、子供一人一人の日々の精神状況の変化に気づける仕組みづくりを求めた。

 文科省は子供の精神不調を読み取る専用アプリの活用などを想定し、学校現場への早期導入を目指す。

 提言案では、学校と行政の福祉部局の連携強化なども必要とした。

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