仙台市交通局は、路線バスを運転する乗務員の熱中症予防対策として、制帽を脱いで運転する「脱帽運行」を8月から導入している。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためのマスク着用などによって乗務員の熱中症リスクが高まることをふまえた措置で、9月末まで実施する。
市交通局によると、路線バスでは約800人の乗務員が勤務。運行中は制帽を着用するのがルールとなっている。
新型コロナの感染拡大以降、路線バスの車内では運転席と乗客との間には感染防止対策としてビニールシートが設置されているが、フロントガラスから入る直射日光の熱などで運転席周辺の気温は上昇。マスクを着用して制帽をかぶると顔の熱が逃げにくくなり、体調面での不安を感じる乗務員たちから昨年、脱帽運行の要望があったという。
乗務員の要望や産業医の意見などをふまえ、市交通局では、脱帽運行を認め、8月6日から初めて導入した。乗務員の武山晋也さん(32)は「暑い日は脱帽している。以前ほど暑さを感じなくなり、より運行に集中できる」と話す。
脱帽運行について、市交通局の和泉政博業務課長は「コロナ禍の中、常時マスクを着用している乗務員の熱中症リスクを軽減するための取り組みということで、市民に一定の理解はいただけていると思う」と説明。市交通局では、脱帽運行が可能な期間中も、車いす利用者の補助や非常時の乗客の誘導などでは、乗務員であることが識別できるよう制帽を着用して対応するという。
夏場の乗務員の熱中症予防対策としては、秋田中央交通(秋田市)などが脱帽運行をすでに導入している。