教育・子育て

期待されるスクールカウンセラー、悩み解決の糸口探る心理のプロ (2/2ページ)

 橋本さんも臨床心理士で、大学院の実習先である精神科で主に学んだのは傾聴を中心とするカウンセリング手法。アドバイスはせず、「患者の話を傾聴し、患者自身の気づきで考え方や行動が変わることを目指す」(橋本さん)ものだった。

 だが保護者に同じ手法をとれば、「ただ話すだけで進展がない」と不信感を抱かれることもある。「初めは問題を解決できず悔しい思いをした」と橋本さん。そうした経験をもとに、困りごとを減らすためのヒントを伝えるようになった。例えば子供の無気力に悩む保護者には、どんなときに楽しんでいるかを観察してもらう。子供に自信をつける必要があれば、小さなことをすかさずほめるようアドバイスする。

 傾聴だけでなく助言を-。SCが学校現場で真価を発揮するため、意識の転換が求められている。

 面談室は心地良い居場所に

 児童生徒らとの面談を行うカウンセリングルームは、学校やスクールカウンセラー(SC)によって雰囲気が異なる。専用の部屋があり、SCが自由に調度品を配置できる学校もあれば、会議室を転用しただけのところもある。

 SCの指導を担う大阪府のスーパーバイザーで、自身も中学のSCを務める良原恵子さん(63)が心掛けるのは、「子供たちにとって心地の良い居場所になること」だ。ある勤務先の中学のカウンセリングルームには、大きなソファやぬいぐるみ、クッションがある。折り紙やボードゲーム、漫画なども置かれ、中には「子供が大きくなってもう使わないから」と教員から寄付された物も。ひな祭りやクリスマスなど、季節を感じられる小物もさりげなく飾る。

 良原さんはどの学校でも、休み時間に生徒らが自由に出入りできるよう、面談中以外は部屋を開放する。良原さんと雑談しに来る生徒もいれば、友人とゲームをしに来る生徒や、昼寝をしに来る生徒も。「私と話さなくてもいい。何か問題を抱えたときに来やすいよう、部屋の雰囲気を知ってもらい、私と顔見知りになってもらう」。中には何度も訪れるうちに、「今日の放課後、(面談時間は)空いてる?」と尋ねてくる生徒や、悩みを書いた手紙をこっそり手渡してくる生徒もいるという。

 常駐わずか、月1回の学校も

 スクールカウンセラー(SC)は不登校やいじめの防止などを目的に、平成7年度に研究事業として一部自治体で始まり、13年度から全国に拡大した。実施主体は都道府県と政令指定都市で、国が事業費の3分の1を補助している。

 文部科学省によると、ごく一部を除きSCは学校に常駐せず、1人のSCが複数校を兼任。1校あたり週1日の勤務とする自治体が多いが、特に小学校では月1~2日の自治体もあり、地域差が大きい。

 文科省の有識者会議によるSCの職務のガイドラインは、学級や学校全体の課題を把握するため、授業や行事に参加するなどして子供たちの状態を見立てるよう求める。だがある男性SCは「月1日の勤務では、予約された面談を行うだけで終わることもある」と話す。

 名古屋市立大大学院の伊藤亜矢子教授(学校臨床心理学)は「SCが子供のSOSに気づき、教員とチームワークよく働くためには、関係をつくるための時間の確保が必要」と指摘し、週1日以上の勤務が必要との考えを示す。一方で、SCの人数や勤務時間を増やそうにも、財政面や人材の確保に課題を抱える自治体も多い。

(藤井沙織)

 「チーム学校」は第2第4水曜、学校を起点に子供を支援する各専門職の現場から、子供たちの抱える困難の実態や解決策を考えます。皆さんのご意見、ご感想を募集します。住所、氏名、年齢、性別、電話番号を明記の上、郵送の場合は〒556-8661(住所不要)産経新聞大阪社会部教育班、FAX06・6633・9740、メール kyouikuhan@sankei.co.jp までお送りください。

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