フランスのルノーが11月9日に、4代目となる新型メガーヌを日本市場に投入した。今回試乗した「メガーヌGT」(以下GT)というグレードは、同社のスポーツ部門ルノー・スポールがコーナリング性能の向上を目指して開発した四輪操舵システム「4コントロール」と専用シャシーを組み合わせ、欧州の過酷なワインディングを走り込んで鍛えた高性能ハッチバック。木々が色づき始めた箱根の屈曲路でさっそくドライブフィールをチェックしてきた。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)
進化したトランスミッション
メガーヌが約9年ぶりにフルモデルチェンジした。今回発売されたのはハッチバック2車種(GTと格下のGTライン)と、全長とホイールベースを伸ばしたスポーツワゴンタイプ(スポーツ・ツアラーGT)の計3モデル。筆者が試乗したGTは、来年の投入が予定されている最高峰モデルのホットハッチ「メガーヌR.S.」に次ぐ走行性能を有するハイパフォーマンスモデルという位置づけとなる。
初めにGTの主要諸元を紹介しておこう。サイズは全長4395×全幅1815×全高1435ミリ。VW・ゴルフやプジョー・308といったライバルよりもさらにロー&ワイドなボディが、一段とスポーティーな雰囲気を醸し出す。ホイールベースは2670ミリ、トレッドはワイドな1575ミリで、車重は1430キロ。パワートレインは1.6リッター直4ガソリンターボエンジンに7速EDC(AT)を組み合わせており、205馬力/6000rpm、280Nm/2400rpmを絞り出す。駆動方式は前輪駆動(FF)で、225/40R18のタイヤを履いている。
まずは走行モードを「ニュートラル」(いわゆるノーマル)に設定して芦ノ湖周辺を目指した。走り出しは筆者の勝手な予測に反して非常にスムーズで、ブレーキやハンドルにこれといった癖もない。実は以前、先代メガーヌを試乗したときに、発進時や停車時にEDCがギクシャクする感じやドライバーの感覚といまいちシンクロしないブレーキの扱いづらさ(踏み始めは緩く、中ほどからぐっと強くなる)が目についたこともあり、今回のGTに対してやや訝しげな気持ちで乗り込んだのだが、低中速の走行で試す限り快適性はしっかりと改善されているようだ。とくに新開発の7速EDCは変速ショックを潤滑油で逃がす湿式を採用したことで、滑らかさを欠く従来の乾式から走行フィールが大きく進化していると感じた。