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日銀、金融政策手詰まりに 米の利上げで一層遠のく「出口戦略」 (1/2ページ)

 日本銀行の金融政策が手詰まりになってきた。米国の利上げ打ち止め時期が近づき、大規模金融緩和を手じまいする「出口戦略」は一層遠のく。金融機関の収益力悪化など超低金利の副作用に対する懸念は根強いが、海外経済の減速に加え消費税増税など来年相次ぐ経済イベントを前に円高・株安につながりかねない政策修正も講じにくく、7月に続く修正第2弾への期待は急速にしぼんでいる。

 「黒田東彦総裁の任期中(2023年4月まで)は、出口を事実上封印された可能性がある」

 みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは日銀の状況をこう分析する。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は20年に利上げを打ち止めする見通しを維持したが、19年6月に予定している政策枠組みの再検証次第では19年中に終了するとの見方もある。長期金利を0%に誘導する日本にとって日米の金利差拡大を見込む円売り・ドル買いが進みづらくなり、円高圧力が高まる懸念がある。

 米国の利上げ終了後に日銀が利上げを始めるのは、金利差の縮小で円高の流れが加速し国内景気に打撃を与えるため現実的に困難だ。出口戦略は米国が再び利上げを始める次の機会まで持ち越しになりかねない。

 大規模緩和のさらなる長期化は避けられず、懸念されるのが地方銀行の貸し出し利ざや縮小など副作用の蓄積だ。金融機関では7月の政策修正後、日銀が年明けにも金利変動幅の拡大など政策の再修正に動くと期待する声もあった。

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