フィリピンは、東南アジア諸国の中で水道水供給システムが進んでいるとされてきたが、マニラ首都圏は人口が1400万人を超えて水道水の需給逼迫(ひっぱく)が近づきつつある。首都圏の水道大手マニラ水道会社は、マニラに程近い巨大なラグナ湖の水利用が解決の鍵とみて、政府に働き掛けている。
現地経済紙ビジネス・ワールドの報道によれば、マニラ水道会社は、ケソン州で開発総額150億ペソ(約310億円)をかけて2023年に完成予定のカリワ・ダムに先駆けて、ラグナ湖からの給水施設工事(推定開発額130億7000万ペソ)が承認されなければ、21年にはマニラ首都圏が深刻な水不足に直面すると警鐘を鳴らす。
マニラ水道会社のジェオディノ・カルピオ最高経営責任者(CEO)は「カリワ・ダムの23年完成を待っているだけでは手遅れになる」と断言する。
現状では、マニラ北東のブラカン州アンガットからの水源で辛うじて賄っている。カルピオCEOによれば、アンガット・ダムからの給水量は1日40億リットルでマニラ首都圏の水需要の96%を占める。うち4割をマニラ水道会社が管理している。
一方、マニラ首都圏西部での給水運営会社はマイニラ・ウオーターサービスで、マニラ首都圏上下水庁(MWSS)が監督官庁だ。