国内

首相「大阪トラック」の開始宣言 デジタル経済ルール作りの枠組み G20

 安倍晋三首相が、G20サミットの関連イベントで、「大阪トラック」と名付けた、データの自由な流通や電子商取引(EC)に関するルール作りの開始を宣言したのは、医療、交通、ECなどさまざまな分野で国境を越えたデータのやり取りが技術革新につながっていることが背景にある。データの流通が滞れば世界の経済発展の阻害要因になりかねず、安倍首相は「来年6月を予定する世界貿易機関(WTO)の閣僚会議までに実質的な進展を目指す」と強調した。

 安倍首相は今年1月、医療や産業活動などで生じるデータ流通の規制を各国・地域でそろえた上で広く活用できれば、新たな富や技術を生み出せるとして、「信頼性のあるデータの自由な流通(DFFT)」との考え方を提唱した。例えば、医療分野では、国境を越えて体温や血圧など膨大なデータを収集し人工知能(AI)で分析することで、病気の早期発見といった技術革新につながる。

 ただ、日米などがデータの自由な流通を訴える一方、中国は国家主導によるデータの管理を主張。プライバシー保護を重視する欧州連合(EU)はむしろ規制強化に熱心で、ルール作りでは温度差もある。

 また、今回、G20のなかでもインドや南アフリカ、インドネシアの3カ国は賛同しなかった。これらの国はデータの国家管理や途上国としての特別待遇を求めているとみられ、ルール作りは難航も予想される。(大柳聡庸)

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