日本政策投資銀行(DBJ)が8月に公表した設備投資計画調査では、日本の大企業製造業の中国向け設備投資は、2018年度に前年比22.5%増と、2年連続で大きく増加した。自動車部品メーカーが、ハイブリッド車(HV)も含めた電動化を見据えた投資を実施したほか、化学では半導体向けの能力増強がみられた。ただし、昨年同時期の調査における計画は同55.2%増であり、実績にかけての下方修正は例年より大きめとなった。米中貿易摩擦の影響により、計画の延期や見直しを実施した企業があったとみられる。
19年度は同23.4%増と底堅い計画となっている。自動車の電動化需要をにらみ、輸送用機械のほか、電気機械でも車載向けの製造設備増強などで大きく増加する。一般機械でも、省力化など中国国内の需要に対応した投資が計画されている。
今月1日にトランプ米大統領は、対中関税第4弾として、消費財を中心とした約3000億ドル(約32兆円)分の輸入に対して、9月1日から10%の制裁関税を課すと表明した(後に一部延期を発表)。
中国での設備投資需要は、減速するとはいえ、所得水準向上に伴い底堅い。ただ、米中貿易摩擦の激化により中国経済の減速が強まった場合はもちろん、先行き不透明感が高まった場合には、中国からの移転も含め、18年度以上に計画を先送り、もしくは見直す日本企業が増える可能性には留意が必要である。(編集協力=日本政策投資銀行)