「福岡」「群馬」に「人馬一体」-。フィリピンの首都マニラを走る車を見ていると、日本語が記されたナンバープレートに気付く。陸運局による正規のプレート交付に時間がかかり、民間業者が売っている日本語入りの仮プレートを取り付けているのだ。警察のおとがめはなく、市民は好みのプレートで愛車を「ドレスアップ」している。
実在の地名入りが主流だが、長野を間違えたのか「野長」と書かれた物も。地名ではなく「毒」「日本製」「ビリー」などと記された不思議なプレートもある。
フィリピンでは2014年5月に新たなデザインの正規プレート交付が始まったが、供給元の企業で税金滞納が発覚し、15年7月に交付を停止。18年7月になってようやく再開した。
正規品が届くまで1年以上待たされるケースも多く、その間は仮プレートを使用することになっている。中小の民間業者がこれを商機と捉え、日本語入りの仮プレートを売り出した。
マニラのショッピングモール内の店では、入れたい地名などを選ぶことができる。女性店員のビビアン・ブラゴさんは「書かれている日本語の意味は分からない。漢字が神秘的に見えて人気なのかも」と笑った。
仮プレートを購入せず、ナンバーを書いた紙を車体に貼ったり、そもそも何も付けなかったりする人もいる。警察によると、仮プレートも規格が決まっているが、全ての車をチェックしきれず黙認しているという。
警察幹部は「とにかくナンバーが分かれば、手書きでも構わない」とし、お手上げ状態だと説明した。(マニラ 共同)