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中国の都市化政策、現実より政策でいびつに

 中国の都市化政策は、うまくいっているのだろうか? 中国政府は2014年に発表した「国家新型都市化計画」の中で、20年までに常住人口の都市化率を60%前後に引き上げるとの目標を掲げた。国家統計局の発表によると、この目標は既に昨年に60%を超え、一年前倒しで達成した。ところが問題は、都市部に移り住んだ農民労働者、いわゆる農民工の都市戸籍取得など待遇改善がどこまで進んでいるかということだ。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 実は「国家新型都市化計画」では、戸籍人口の都市化率を45%前後にまで引き上げるという、もう一つの目標も掲げている。こちらの方は18年末で43.37%だったので、今年中に達成できるか微妙だ。かなり本気にならないと難しい。

 仮に戸籍人口の都市化率の目標が実現できても、常住人口と戸籍人口の比率には依然として約15%もの開きがある。人口数にすると、なお約2億人もの農民が都市部に働きに出ていっても戸籍がもらえず、教育や住宅などの面でもさまざまな差別を受けていることになる。

 そもそも政府は、14年に目標数字を立てた時点で、約15%の差が残ることを黙認していた。もちろん14年時点に比べると、この6年間で差は多少縮まっているのだが、大した数字ではない。本来ならば、常住人口の都市化率のスピードを低めに抑制して、戸籍人口の都市化率のアップをもっと急ぐべきだったのではなかろうか。

 都市化が進めば、それに伴ってインフラ建設需要の拡大も期待できる。不動産産業の発展にはこの上ない追い風となるし、経済成長維持のためにもプラスとなろう。だが、あまりにそうした面に気をとられ、移住した農民の戸籍取得など待遇改善が後手に回ってしまった。

 さすがに政府も危機感を抱き、昨年春には戸籍取得を促すための方策を打ち出した。無条件に都市戸籍を取得できるのはこれまで人口規模100万人以下の都市に限られていたが、それを100万~300万人規模の都市にも拡大した。また300万~500万人規模の都市でも大幅に条件を緩和した。

 しかし上海や北京などの巨大都市は、特に目新しい改革案は示されなかった。イノベーション都市として発展著しい深センには多くの若者が全国から押し寄せているが、常住人口のうち戸籍を持っているのはわずかに3割強といういびつな状態となっている。

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