海外情勢

ベトナムで石炭の輸入急増 環境負荷懸念、日本支援に批判も

 経済発展が続くベトナムで、電力需要の伸びに伴い石炭の輸入が増えている。環境への負荷が大きい石炭火力発電所への依存には批判が多いが、有力な代替策はすぐには見つからないのが現状だ。日本も発電所建設に関わり、環境保護団体は厳しい視線を向けている。

 ベトナムはもともと石炭の輸出国だったが、2015年に輸入が輸出を上回った。ベトナム税関総局によると、19年は石炭の輸入(速報値)が4384万トン、37億9000万ドル(約4150億円)で重量ベースでは前年比2倍近くに及んだ。ベトナムの電力需要は毎年10%程度ずつ伸びている。ベトナムが16年に改定した国家電力計画は、大きな割合を占めてきた水力発電の開発が頭打ちになることを見越し、電力供給の基軸を石炭火力に置いた。日本の経済産業省の資料によると、発電量ベースでは16年に35%だったが、25年には50%を超えるとされる。

 ベトナム政府も問題は意識している。エネルギー政策担当者は、今年夏までに更新される電力計画が「コストが下がりつつある再生可能エネルギーの開発を促すものになる」と説明。昨年11月に商工省がデンマークの協力を得てまとめた報告書も、発電所増設の停止など石炭消費の抑制が早急に必要だと指摘した。

 ただ1億人近い人口を抱え7%前後の成長が続く経済を支えるのに、太陽光発電などでは短期的に「力不足」との見方が大勢だ。液化天然ガス(LNG)は大規模な輸入基地整備が始まったばかり。初の原発建設計画は16年に白紙化された。

 日本からは国際協力銀行(JBIC)が19年4月、中部カインホア省での石炭火力建設事業に11億9900万ドルを限度とする融資を決定。同9月には南部ビントゥアン省でJBICが支援した石炭火力発電所の完工式が行われた。日本の支援の在り方をめぐっては、小泉進次郎環境相が1月21日「国際社会の理解は得られない」と異例の発言で一石を投じた。環境保護団体メコン・ウォッチは、石炭火力への傾斜を後押ししてきた日本政府の姿勢はパリ協定などの国際合意と矛盾すると批判している。(ハノイ 共同)

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