政府は5月29日、経済財政諮問会議を開いた。経団連の中西宏明会長ら民間議員は、新型コロナウイルス感染症の対策と経済活動の両立に向け、デジタル化などの社会刷新を一気に進める必要があると提言した。2021年度予算編成の指針となる「骨太方針」に反映させる。安倍晋三首相は「新たな日常に向け、日本がフロントランナーとなる」と述べた。
提言は行政サービスのオンライン化や、遠隔からの診療や教育を進める必要があると強調した。コロナ対策をきっかけにテレワークが進んだことを踏まえ、働き方改革を推進するよう訴えた。都市部で感染症のリスクが高まったことを受け、東京一極集中の在り方を変える必要にも言及した。
ITの知識が乏しい人が十分なサービスを受けられなくなったり、就業機会が奪われたりする「デジタル格差」が広がることに懸念を示した。教育環境の整備や高齢者支援に力を入れるべきだと訴えた。
新型コロナ対策として1人当たり10万円を配る特別定額給付金では、マイナンバーカード所有者を対象としたオンライン申請でトラブルが続き、事務を担う自治体は混乱した。「必要な人に必要な支援がタイムリーに届くよう、マイナンバーと(預貯金の)口座番号をひも付けすべきだ」と強調した。
また、新型コロナの世界的な感染拡大に伴って、各国で貿易の保護主義やナショナリズムが高まっていると指摘した。来年に延期した東京五輪を念頭に、国際的な人の移動を円滑化するためのルール整備が必要だとした。