海外情勢

中国の香港国安法施行1カ月、立法会選に向けて締め付け強める

 【北京=三塚聖平】中国側は香港国家安全維持法(国安法)を盾に香港への統制を強めている。「香港独立」を掲げる団体「学生動源」で代表を務めていた鍾翰林(しょう・かんりん)氏の逮捕に、中国官製メディアは「香港国安法が“香港独立”分子を初めてやっつけた」(中国青年報電子版)と“成果”を強調した。

 中国側は、立法会(議会)選に向け締め付けを強めている。民主派が立法会選に向けて行った予備選について、中国政府で香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室の報道官は「香港の選挙に対する非合法な操作であり、香港基本法(ミニ憲法)と香港国安法への公然とした挑戦だ」と非難。選挙を通じて民主派が影響力を拡大させることを警戒しているとみられる。

 国安法施行後、欧米各国との関係は一気に緊張している。新型コロナウイルス発生後に悪化していた米中関係はさらに先鋭化。経済関係を背景に関係が良好だった英国も、米国とともに対中姿勢を硬化させる。

 しかし、習近平指導部としては香港問題で譲歩する余地はない。香港の抗議活動に反発する国内世論の高まりが妥協を許さないという国内事情もあり、今後も香港への統制を強めていくものとみられる。

 王毅国務委員兼外相は28日に英国のラーブ外相と電話会談したが、国安法について「香港の高度な自治や繁栄、安定を守るのに有益だ」などと正当化するだけだった。国内事情を優先することで、対外関係の悪化が続くことは避けられそうにない。

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