米大統領選

景気失速、誤算のトランプ氏 バイデン氏には左派の陥穽 (2/2ページ)

 一方、バイデン氏は「ビルド・バック・ベター(より良き再建を)」というスローガンを唱え、雇用の立て直しや環境・エネルギー分野の政策集を公表。「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」を旗印に米国製品の製造や販売を促す優遇策を打ち出した。

 「米国第一」を掲げ、製造業が盛んだった中西部の労働者の心をつかんだトランプ氏の支持層を、切り崩そうとの思惑が透ける。

 バイデン氏の政策には党内で存在感を増す左派への配慮もうかがえる。政策集は脱炭素社会の早期実現や幼児教育の無償化も盛り込んだ。党候補指名を争った左派のウォーレン上院議員らが「指南した」(党関係者)とされる。

 バイデン氏は「勤労者世帯に焦点をあてる」とし、トランプ氏の減税の恩恵が富裕層や大企業に偏っていると批判。製造業支援に7千億ドル(約74兆円)を投じる大型政策の財源には、法人税の増税方針を示した。

 ただ、バイデン氏の増税案がGDPを「1・5%引き下げる」(米税制財団)との分析もあり、産業界には警戒感もある。トランプ氏は「民主党は極左に乗っ取られた」と語り、穏健な有権者が民主党支持に流れるのを牽制(けんせい)。バイデン氏が思惑通りに支持者を手繰り寄せられるかは見通せない。

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