国内

中国向け輸出7カ月ぶり増 7月全体19.2%減、機械受注は低調

 財務省が19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)では、新型コロナウイルスの感染拡大で輸出は前年同月比19.2%減の5兆3689億円で、6月(26.2%減)から減少幅が縮小した。中国向けが7カ月ぶりに前年同月を上回り、輸出は底打ちしたとの指摘もある。ただ、同日発表された機械受注統計では設備投資を見送る企業の慎重姿勢が緩んでいないことが示され、本格的な景気の回復時期は見通せない。

 輸入は5兆3572億円で22.3%減と、6月(14.4%減)から下げ幅を拡大。原油安の影響でエネルギー関連が減少し、輸出から輸入を差し引く貿易収支は116億円の黒字で、黒字は4カ月ぶりだった。

 最大の貿易相手国である中国への輸出は非鉄金属や半導体等製造装置、自動車などが好調で、8.2%増とコロナ禍以前の水準を上回った。輸入はパソコン、マスクを含む繊維製品が大きく伸びたが、衣類や自動車部品が落ち込んだことで9.8%減となった。

 対米輸出は航空機エンジンや自動車が悪化し19.5%減だったが、減少幅は6月(46.6%減)と比べ改善。輸入は航空機や原油が減り25.5%減だった。対欧州連合(EU)は輸出が30.5%減、輸入が14.3%減と下げ幅を拡大した。

 一方、内閣府が発表した6月の機械受注統計(季節調整値)は、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比7.6%減の7066億円で2カ月ぶりにマイナスとなった。7~9月期の受注も減る見通しだ。

 農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「輸出は最悪期を脱した」と指摘。「ただ、一部の国で感染再拡大がみられるなど経済活動の回復は順調ではなく、いずれ頭打ちとなる。設備投資も低調な状況が長引くだろう」と分析した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus