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コロナ禍を乗り越える店舗運営へ…「無人決済システム」導入加速

SankeiBiz編集部
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 新型コロナウイルス感染者数が増加し“第三波”の様相が強まる中、“ニューノーマル”な時代の店舗運営に向けた新たな取り組みが進んでいる。スタートアップ企業を応援している「JR東日本スタートアップ」と、システムコンサルティング会社の「サインポスト」が合弁で設立したITベンチャー「TOUCH TO GO」(タッチ・トゥー・ゴー、東京)は25日から、ハンバーガー店「R・ベッカーズ 田町店」で新製品の無人オーダー決済端末「TTG-MONSTAR」を導入する。

 TTG-MONSTARは飲食店や小売店、サービス業などで人と対面せずに注文から決済までを可能にする無人オーダー決済端末。JR東日本フーズが運営するR・ベッカーズ 田町店(東京都港区)では、ハンバーガーなど料理の注文から決済までがタッチパネルで完結するようになるという。来月12日からはガーラ湯沢駅(新潟県湯沢町)直結の「GALA湯沢スキー場」でも導入し、スキー用品レンタルの申し込みから決済まで無人で実現するなど、店舗運営を通じた感染リスクの低減と大幅な「省人化」に期待が集まっている。

 同社はJR東日本グループの高級スーパー「紀ノ国屋」初の無人決済店舗を手掛け、10月16日に「KINOKUNIYA Sutto目白駅店」(豊島区)をオープン。人工知能(AI)を用いて買い物客と商品の動きをリアルタイムで捕捉する技術で、レジで商品バーコードをスキャンすることなく商品の識別が可能となり、レジの前に立つだけで合計金額が表示されるという“近未来のショッピング”を実現させた。このほか、無人決済コンビニエンスストアの実用化に向け、業界大手のファミリーマートと業務提携し、来春ごろには1号店をオープンする予定という。

 タッチ・トゥー・ゴーの担当者は「TTG-MONSTARは無人決済店舗と異なり、導入コストもそれほどかからない。選択肢に加えていただければ」と話す。TTG-MONSTARは野外での利用もできるという。例えば、人気アーティストのライブグッズ販売。タッチパネルで決済した客に番号を割り当て、準備ができたら番号をデジタルサイネージ(電子看板)に表示して知らせることもでき、ファンらで混雑するグッズ売り場の行列解消にも一役買いそうだ。

 飲食店で使われる券売機には1台200万円もするものもあるというが、TTG-MONSTARのシステム利用料はサブスクリプション(定額課金)契約で1台あたり月額3万5000円。TOUCH TO GOの担当者は「もともと店舗運営では人材不足が課題だった。売り上げはあっても、働き手が集まらないという状況が発生しており、地方ではよりその傾向が強いと感じている。今後は全国的な省人化に向け、取り組んでいきたい」としている。

 全国的に感染への警戒感が強まる中、客足の減少が懸念される飲食店などの経営者にとって人と人が対面しない決済システムは、人材不足解消の一助となるだけでなく、コロナ禍での感染防止対策にも有益となるかもしれない。

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SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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