新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大きく変化した消費者の行動様式。流通・食品業界は今年、行動様式の変化で生まれている新たな需要にどう対応するかが問われる。デジタル化への対応、店舗や工場を支える従業員や顧客への感染防止対策についても、模索が続く年になりそうだ。
「元には戻らない」
「平日の会社員や休日の旅行客でにぎわっていた東京駅の店舗が、リモートワークの影響を受けた。完全に元に戻ることはないだろう」。大丸松坂屋百貨店を運営するJ・フロントリテイリングの好本達也社長は表情を引き締める。
新型コロナに伴う外出自粛で、都市部に店舗を構え大商圏から集客するビジネスモデルは変革を迫られる。キリンホールディングス(HD)の磯崎功典社長も「週3日くらいオフィスに行けばいいということになると、飲食店用需要は戻らない」との見方を示す。
行楽需要が減少したコンビニエンスストアは日常生活で使う商品を強化する。ローソンの竹増貞信社長は「野菜の販売を始めたり、大容量の日用品を増やしたりしている」と商圏が狭まった消費者のニーズに合わせた商品展開を進める。
また、サントリーHDの新浪剛史社長は「家で時間を使って、ハイボールなどを作るような消費傾向が出てきた」と新たな需要の取り込みを視野に入れる。
「顧客データ活用」
デジタルへの対応も一大テーマとなりそうだ。
「(子会社の)ファミリーマートの顧客データの活用に取り組みたい」と話すのは、伊藤忠商事の鈴木善久社長だ。セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は「スマートフォンからの宅配注文画面には、在庫のある商品のみが表示されるようになった」と、顧客利便性と商品ロス削減の両立に生かす。