海外情勢

ミャンマー「暗黒時代の再来」記者ら反発 国軍が「批判」メディアの免許剥奪 

 【シンガポール=森浩】クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍は8日夜、国営テレビを通じ、国内の5つの独立系メディアの免許を剥奪したと発表した。いずれも国軍による強引な権力掌握を批判的に報じていた。各地で抗議活動が激化する中、国軍は情報統制によって、反発拡大を押さえ込みたい考えだ。

 免許が剥奪されたのは日刊紙やウェブメディアなどを運営していた「ミッジマ」「セブンデー」など5社。会員制交流サイト(SNS)を通じたニュース発信も認められない可能性が高い。

 5社ともに抗議デモを積極的に報じており、国軍が使用を禁止した「クーデター」「軍事政権」という用語も記事で使用していた。一部メディアは「民主主義と人権を取り戻すために活動する」(ミッジマ)などとして、情報発信を続ける構えを見せている。

 「セブンデー」の発行する媒体にコラムを寄稿していた地元ジャーナリストのチット・ミン・マウン氏は産経新聞通信員の取材に、「免許剥奪は完全に時代に逆行している。言論の自由は、暗黒時代だった(1988年からの)軍政期に戻った」と反発している。

 国内では、ジャーナリストの摘発も相次いでおり、9日までに「社会の不安をあおった」などとして、AP通信のカメラマンらが訴追された。2月1日のクーデター以降、拘束された報道関係者は30人以上に及ぶ。

 9日も国内各地ではデモが相次いだ。最大都市ヤンゴン中心部サンチャウン地区では8日夜、治安部隊が約200人のデモ隊を包囲。デモ隊を支援しようと他地区から集まった住民が治安部隊と対峙(たいじ)し、緊張が高まる場面があった。

 ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官は8日の最高意思決定機関「国家統治評議会」の会合で、国軍の全権掌握以来、市民計34人が死亡したことを明らかにした。「(デモ参加者が)暴徒化したためだ」と、武力行使を正当化した。

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