専欄

「青龍偃月刀」に「木牛流馬」…中国の重要文物、世界を驚かす発掘への期待

 目の大きく飛び出た仮面で知られる「三星堆遺跡」(四川省)で最近、新たな発見があった。これまでとは違った場所から、黄金仮面の残片や大量の象牙などが続々と出てきたのだ。中国では建国後、各地で多くの重要文物が発掘されてきた。もうほとんど掘りつくされたかと思っていたら、とんでもない。これからも世界を驚かせるような出土品が見つかるに違いない、と期待は高まる。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 最も可能性の高いのは、場所が特定されているものの、まだ発掘作業が始まっていない、いくつかの遺跡現場である。

 代表的なのが、西安にある「秦の始皇帝の墓」である。墓中の棺には多くの珍宝が埋葬されている、と歴史書にも記載されている。それによると、棺の内部は銅で作られていて、外部には漆が塗られ、装飾品にはひすいが使われているとか。

 「秦の始皇帝の兵馬俑」からは、既に多くの出土品があるが、ここもまだ掘り終わったわけではない。これまでに発掘したのは東と南の2カ所だけで、西と北はまだ手つかずに残っているという。

 西安には、唐の高宗と則天武后の合葬墓「乾陵」もある。唐時代の陵では唯一、盗掘されていないといわれていて、多くの埋蔵品が眠っているとみられる。もしかすると書聖とうたわれる王羲之の真筆が見つかるかもしれないとの期待もある。

 一方、全く手掛かりはないが、発掘されれば、世界を驚かすのは間違いない文物もある。

 例えば、「劉備玄徳の剣」。雄と雌の双剣で、劉備が長江の白帝城で死んだあと、一緒に埋葬されたといわれている。ところが、劉備の墓の場所は、成都、奉節など複数の説があるものの、いまだに特定されておらず、双剣も見つかっていない。

 諸葛孔明が作った「木牛流馬」も、見つかっていない。魏への北伐の際に輸送用に使われ、当時としては極めて先進的なものだったといわれている。

 このほか、関羽が使っていた大刀の「青龍偃(えん)月刀」とか、後漢の張衡が考案した世界最古の地震計である「地動儀」なども未発見である。

 場所が特定されている「秦の始皇帝の墓」などは、発掘しさえすれば、重大発見間違いなしだろう。文物局幹部に「なぜ発掘しないのか」と尋ねたことがある。答えは、「発掘後の保存技術が不十分なので、先延ばしにしている」とのこと。保存技術の進歩を待つしかない。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus