海外情勢

徴用工賠償「韓国政府が主体に」 代位弁済で与党実力者

 【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で今月、「日本政府に代わり韓国政府が賠償金を『代位弁済』する」との新たな対応案を公式の場で提示した韓国与党「共に民主党」の李相●(=王へんに民)(イ・サンミン)議員が産経新聞のインタビューに応じた。李氏は「日本政府や企業に支払いを求める案ではない」とし、「文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期内に解決することも十分に可能だ」との認識を示した。

 李氏は当選回数5回で、現役国会議員で2番目の重鎮。来年春の大統領選に向けた与党の選挙管理委員長などを務める党内実力者で、文政権の首相候補に名前が挙がったこともある。

 訴訟では2018年に日本企業への賠償命令が確定し、企業の資産現金化手続きが進行中。日本側で懸念が強まっている。そうした中、李氏は今月6日、韓国国会の外交統一委員会で韓国政府が原告らに賠償金を支払い、後日、日本側に請求する代位弁済を提案。オンラインで出席した姜昌一(カン・チャンイル)駐日韓国大使も「良いアイデアだ。韓国政府も一案として検討していると承知している」と評価した。

 李氏は取材に対し、日韓企業や個人の寄付を募るといった韓国でこれまで議論されてきた方案と異なり、代位弁済では「あくまで韓国政府がリーダーシップを発揮し、支払いの主体となる」と説明。立法作業や当事者との合意は不要で、政府の決断で迅速に問題解決が図られるとした。

 徴用工問題について日本側は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場。文政権は賠償命令確定を受け、「被害者中心主義」の問題解決を目指し、原告らの同意が対日交渉の前提になると主張してきた。このため代位弁済には当事者や市民団体からの反発が予想される。

 李氏はこの点について、「遺族らも『自分たちが両国の若者たちの交流の妨げになってはならない』という考えを持っている」と述べ、説得に自信を示した。その上で「韓国政府が難しい決断を下せば日本政府は好意的に評価するとのシグナルを送ってもらえれば、文大統領も決断に踏み切ることができる」と訴えた。

 一方、韓国政府が事後に日本政府に賠償金を請求する仕組みについては、「あくまで法的な枠組みだ。韓国政府が実際に『借金を返せ』などと言うと思うか」と述べた。だが、韓国政府が将来的に日本政府に請求しない保証はなく、李氏もそれを担保する具体策には言及しなかった。

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