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電機各社「ヘルスケア」強化で脱家電 ライバルは中韓ではなく欧米勢

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電機各社「ヘルスケア」強化で脱家電 ライバルは中韓ではなく欧米勢

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 電機業界を中心にヘルスケア事業を本格展開する動きが相次いでいる。高齢化の進展に伴い国内需要が拡大しているだけでなく、アジアをはじめとする新興経済国で関連市場が立ち上がってきているためだ。なかでも電機各社は不振の家電に代わる新たな事業の柱の一つとして医療機器強化に本腰を入れており、新興国市場をめぐる欧米メーカーとの競争が激化しそうだ。

 20年に30兆円市場

 「社会インフラや半導体などさまざまな技術をヘルスケアに結集する」。東芝の田中久雄社長は2月中旬に発表したヘルスケア事業戦略で、CT(コンピューター断層撮影装置)などの画像診断装置だけでなく、予防や介護、人の遺伝子を解析するゲノム事業や飲み込んで使うカプセル型の内視鏡事業を展開することを明らかにした。積極的なM&A(企業の合併・買収)などで、4000億円規模のヘルスケア事業の売上高を2017年度に1兆円に引き上げる。

 日立製作所も4月1日付で同社7つ目のグループとして、ヘルスケアグループを設立。経営資源を集中し世界規模で多様化するニーズに対応する計画だ。

 各社がヘルスケア事業を強化する背景には、急成長する市場への期待がある。経済産業省の産業構造ビジョンで、医療や介護、健康、子育てまで含む20年の市場見通しは30兆円超。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「40年代にかけてのシニア人口増加で国内市場が拡大するだけでなく、アジア諸国など国際市場でも相当の成長が期待できる」と話す。

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