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転売グループ誤算…アップル、中国の“言いなり”でiPhone6発売

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転売グループ誤算…アップル、中国の“言いなり”でiPhone6発売

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 米アップルは30日、新型の「iPhone(アイフォーン)6」と「6プラス」を中国本土で10月17日から販売すると発表した。中国当局から通信接続の許可が下りず発売が遅れていた。

 中国側はアイフォーンを利用した米情報機関によるスパイ活動を警戒し、利用者のプライバシー保護の徹底を要求。世界最大の市場での発売を急ぎたいアップル側は、スパイ活動に協力しないことを約束するなど言いなりで要求を受け入れたという。本土での高値転売を目的に中国人らが日本や香港で新機種を大量に買い集めていたが、大量の在庫を抱える“誤算”となりそうだ。

 ようやく接続許可

 「6と6プラスを中国のみなさんに販売できることになり、興奮しています。利用者は高速回線を使って素晴らしい体験ができるでしょう」

 アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クック氏は、中国工業情報省(MIIT)から30日に接続許可が下りたことを受け喜びの声明を発表した。

 新機種は中国移動、中国聯合(れんごう)通信、中国電信の3大通信会社から売り出される。色はゴールド、シルバー、スペースグレーの3種類で、本体価格は5288元(約9万4000円)から。

 「6」と「6プラス」は9月19日に米国、日本、香港など10カ国・地域で発売され、直後の3日間の販売台数が過去最多の1000万台を突破した。1週間後には計20カ国・地域で売り出されたが、中国ではほぼ1カ月遅れとなる。

 アップルが「白旗」

 中国側が許可しなかったのは、米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(31)が暴露した、米IT企業を通じた当局による大量の個人情報収集活動を警戒したためとみられる。今年7月には、国営の中国中央テレビ(CCTV)がアイフォーンについて「国家の安全保障の脅威だ」と厳しく非難していた。

 米国側も、中国が繰り返しサイバー攻撃を仕掛けていると批判し、中国人民解放軍の将校5人を訴追するなど、両国は激しい応酬を繰り広げている。このため、中国当局が米IT企業に対し、報復措置として嫌がらせをしているとの見方は根強く、マイクロソフトやグーグルも標的となっている。

 それでも、アップルは中国側の要求を全面的に受け入れ、基本ソフト(OS)のセキュリティー対策を強化したほか、国家による正式な手続きを経ない情報収集に協力しないことを約束したという。

 アップルにとって、中国は売上高全体の約16%を占める最重要市場。新機種の発売遅れは、業績を大きく悪化させる懸念があった。市場では、「中国で発売されれば、さらに300万~500万台の販売増が見込める」(アナリスト)と期待する声が出ている。

 新機種をめぐっては、日本の販売店に多数の中国人が押し寄せ、騒ぎとなったほか、上海市の浦東(プートン)国際空港などでは大量の密輸が発覚している。アップルが早々に白旗を上げ中国での発売が決まったことに、転売グループは、大きなショックを受けているに違いない。(SANKEI EXPRESS

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