訪米中の菅義偉首相は25日午前(日本時間同日夜)、米ワシントンのホテルで同行記者団と懇談し、首相退任後について「政策的な仕事をしていきたい」と述べた。やり取りの詳細は以下の通り。
--新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発令中の緊急事態宣言は月内に解除するか
「デルタ株による爆発的な感染拡大について医療体制の確保、ワクチン接種、感染防止策の3本柱の中で懸命に取り組んできた。一時は全国で1日2万5000人を超えていた新規感染者数が3000人程度になってきて急激な減少が続いている。また、自宅での療養者は一時は13万人を超えていたが、3万人に減るなど状況は確実に好転している」
「宣言の解除については専門家から病床の利用率や重症者数、ワクチンの接種状況、こうした基準が示されており、週明けに改めて状況をよく分析した上で、専門家の皆さんの話をうかがい、判断したい。今月末の期限については現時点では何も決めていない」
「政府の方針である基本的対処方針がある。これに基づいて、新しい首相のもとで進めていくことになるだろうと思う」
--感染状況が好転している要因は
「ワクチン接種が進んでいるのが大きいのではないか。2回接種が米国においては(対象人口の)50%少し手前から感染者が減少し始めている。日本の進捗(しんちょく)状況は1回接種とも、2回接種とも(対象人口の比率は)米国を超えている。やはり接種が予定通り進んでいることが大きいのではないか」
「7月までに65歳以上の高齢者は2回接種を終えたいと申し上げてきた。そのためには1日100万回を超える接種が必要だということで、7月は平均で150万回接種されている。8月、9月も100万回を超えている。そうした体制が進んで高齢者の感染者の割合が大幅に減少した。50代の人のワクチン接種も順調に進んでいる。やはりワクチン接種が(感染者)減少の大きな要因ではないか」
--自民党総裁選で河野太郎ワクチン担当相が提唱する最低保障年金制度に批判が出ている
「候補者が、自分が首相になったら、これをやりたいという議論をすることは良いことだ。総裁選の中で、それぞれの候補者が政策を掲げて議論する。そうしたことはある意味で望ましい。年金についていえば、働く世代が減り、受給世代が増える。医療費についても、高齢者医療費について思い切って現役の負担を少しでも下げられるような仕組みで、(高齢者の医療窓口負担を)引き上げさせていただいた。いろんな考え方があって、議論することはいいことだと思っている」